１３話・確信 ページ13
仗助は一度自身の教室に戻ったが、昼休みになる前に理由をつけて授業を飛び出し、再び彼女の教室へ走る。
彼女が受けている仕打ちは朝の出来事だけではない。
昼休みもそうだ。昼休みは屋上にいるが、その前に濡れてやってきたりすることが多々ある。いつ、彼女が、誰にやられているのかはっきりさせなければならない。
授業の終わりのチャイムが鳴ったちょうどに朝と同じところに身を隠すことができた。すると、教室の扉が開いてAがあの女たちにどこかへ連れて行かれていく。仗助は出来るだけ遠くであとをつけた。
徐々に人がいないところへ移動し、校舎裏でAは壁に突き飛ばされてうずくまっていた。それを遠慮なしに複数人が取り囲んでいる。それから朝と同じような光景が繰り返されていた。反射的に割り込もうとしたが、瞬時に「やめて」と告げて泣きそうな顔をするAが脳裏を掠めた。
仗助はグッと下唇を噛み締めてただ呆然と悲惨な光景を眺めていた。すると、いじめの主犯格の生徒が周りを制して前に出ると一人でAのお腹を何度も蹴りはじめる。それから何かを喚いていた。
「お前のせいで…ーー！！私は…ッ…ー！失っ…！」
遠くで見ているせいか声が途切れ途切れにしか聞こえない。だが、その言葉にAは無表情で受けていた顔が変わり、悲痛で罪悪感で塗れた表情で主犯格を見上げた。
それを見た瞬間に主犯の女は笑顔をこぼす。
あの二人に何かがあるのは間違いなかった。それが、いじめを受け入れる理由にも繋がるのだろうと仗助は確信した。
昼休みの時間が半分過ぎた頃、Aの前から生徒たちは去っていった。それを見届けてからノロノロと立ち上がって服の汚れをはらっているAに近付く。だが、Aは驚いた顔をすることもなく、ポツリとつぶやいた。
「よく割り込まなかったね」
「あんたが嫌がるから」
不服な決断だった。それなのに彼女は顔を上げてはこちらの目を見つめ返して微かな笑みを浮かべながら「ありがとう」と言った。
いじめを見過ごした。暴力を振るわれている姿をただ見つめて傍観を決め込んだ。そんな相手になんで…ッ！？
「〜ッざけんな！ありがとうじゃねぇーだろ！？…やっぱりあいつらを！」
仗助は彼女たちが去ったあとを追おうとしたが、裾を掴まれた。引き止められたことに苛立ちながらも振り返ってハッとなった。真っ直ぐ自分を見つめる彼女に。
「ほっといていい。あの子は正しいことをしているだけ」
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圧倒的睡眠不足(プロフ) - 知らず知らずのうちに完結されていらっしゃる...だと...ッ！？流れから文の書き方からオチまで全部素敵すぎて引き込まれてしまいました！素敵な作品をありがとうございます！ (5月7日 17時) (
レス) @page32 id: 33f559404d (このIDを非表示/違反報告)
匿名M(プロフ) - 圧倒的睡眠不足さん» コメントありがとうございます！前作も読んでいただき、今作まで…本当に嬉しいです！めちゃ良きなストーリー展開を続けられるよう頑張ります！ (11月19日 22時) (レス) id: 0253a37101 (このIDを非表示/違反報告)
圧倒的睡眠不足(プロフ) - 前作ジョルノの小説も読ませていただいてました、新作もめっちゃ良き…！更新楽しみにしてます！ (11月19日 13時) (レス) @page3 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名M | 作成日時：2023年10月27日 10時
