１２話・主犯格 ページ12
仗助は額に青筋を浮かべて怒りを露わにしていた。
いじめがある事実を黙って見ているだけでも胸糞悪い。それを受け入れている彼女にも腹が立つ。
俺がいじめの主犯格に直接言ってきてやると告げて向かおうとすれば、掴まれる手首。
「本当にやめて」
彼女の声は震えていた。仗助はAの方を振り返って息を詰まらせた。
「…何でそんな表情するんすか」
苦しんでいる原因を止めようとしているのに、泣きそうな顔をして引き止められると何もできなくなる。
だが、気になるのだ。なぜ、主犯格の相手を庇うのか。
理由を問い詰めたところで彼女は首を横に振って何も言わない。だったら、自分がするべきことは決まっていた。
自ら彼女のことを知る。重たい腰を上げて厄介ごとに突っ込む決意をした。
何が彼女をそこまで苦しめているのだろうか。
翌日の朝、仗助は自分の教室ではなくAの教室へと向かっていた。それは、もちろん彼女の身に何が起こっているかこの目で確かめるためだ。
廊下の奥の角で身を隠してクラスメイトを含むAが来るのを待つ。すると、最初に来たのは女子生徒の集団。一人が中心となり、周りに数人の生徒が並んで歩いてくる。そのまま教室へと入っていった。その数分後、ゆっくりと歩いてきたのはA。
教室の扉を開ける前に一息ついて入っていく。その数秒後、ガタン！と大きな物音がした。仗助は教室の窓から中の様子を伺った。
「…ッ」
想像を絶するほど過激な光景が広がっていた。
床に倒れ込むAを中心に群がる女子の集団。苦しそうな呻き声が聞こえている。だが、周りは誰一人止めない。
いじめの主犯しているのは誰かすぐに分かった。
先ほど集団の中心となっていた女だ。目元を細めて嘲笑い見下す態度で。その態度が後から教室に来たいじめに加わっていない生徒たちを牽制していた。
邪魔したらどうなるか分かっているな？という冷たさを含むあの目が。
だが、そこへ教師が来た。流石に教師が入れば止めにはいる。もしくはAの姿を見て異変に気づくと思ったが…
「なにしてんだ、A。早く席に座れー」
ただそれだけだ。あからさまな傷に対して何も指摘せずに。
「なんだよ、これ」
ここまで陰湿なものを目の当たりにしたのは初めてだ。だが、Aはどこか諦めたような顔で全てを受け入れ、何事もなかったように席に座る。
仗助は信じられない光景にたじろいだ。予想を超える悲惨な現状を彼女が抱えていた真実に。
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圧倒的睡眠不足(プロフ) - 知らず知らずのうちに完結されていらっしゃる...だと...ッ！？流れから文の書き方からオチまで全部素敵すぎて引き込まれてしまいました！素敵な作品をありがとうございます！ (5月7日 17時) (
レス) @page32 id: 33f559404d (このIDを非表示/違反報告)
匿名M(プロフ) - 圧倒的睡眠不足さん» コメントありがとうございます！前作も読んでいただき、今作まで…本当に嬉しいです！めちゃ良きなストーリー展開を続けられるよう頑張ります！ (11月19日 22時) (レス) id: 0253a37101 (このIDを非表示/違反報告)
圧倒的睡眠不足(プロフ) - 前作ジョルノの小説も読ませていただいてました、新作もめっちゃ良き…！更新楽しみにしてます！ (11月19日 13時) (レス) @page3 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名M | 作成日時：2023年10月27日 10時
