■15:REFUSAL[拒否] ページ15
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ホリィさんと俺のお母さんはなんだかよく似ている。
明るくて、優しくて、暖かくて。華やかな温もりを感じる女性だ。俺はお母さんが大好きだったし、空条もきっとホリィさんが大好きだ。こんな事実突き付けられては堪らないだろう。
死、というのはあまりにも突然で、どんなに善行し続けた聖人でも惨たらしい死に方はするし、俺のようなクズが恵まれて案外長生きしたりする。憎まれっ子世に憚る、本当によく言った言葉だ。
「ホリィさんの側、行かなくていいんですか。ジョースターさんに、空条」
「…ホリィはまた気を失ったよ。急がなければならない」
「…そうですか。…」
俺は鞄を持って縁側から立つ。するとジョースターは俺を引き留めるように声を掛けた。何なんだよ、そう半ば腹を立てながら振り返る。
「時に如月くん。良ければ君も旅に同行してくれないか」
「は? …何で俺が」
「君のその膨大な知識量は必ず必要になる。そして隠そうとしていても隠れていない、その精神エネルギー! 君の力を貸して貰いたい。ホリィの為だけじゃない、世界の為にもだ」
胸糞が悪くなるほどお人好しな彼らに、心底舌打ちがしたくなる。俺は乱雑にどさりと肩から鞄を落とした。弾みで中からボロボロの教科書や筆箱が飛び出す。
「ちょっと、いいですか」もう我慢の限界だった。俺は、俺は俺は俺は!!!
「俺はお前らとは違うんだよ!! お前らの正義感を俺に押し付けんじゃねぇ!! 他人を巻き込むな!!」
力任せに鞄を掴んで二人に投げ付ける。バキバキと音を立てて筆箱から出てきたシャー芯が折れていった。俺の心の綻びのように。
二人とも避けはしなかった。何なんだよ何なんだよ何なんだよ! 皆の全てが俺の精神を逆撫でする。空条は床に落ちたボロボロのふやけた教科書を拾った。
「如月くん、落ち着いて聞いてくれ。これはわし達だけの問題では」
「運命だとか宿命だとか、そんなもんどうだっていいんだよ!!! 俺はDIOとあんたらがどんな関係性だろうと! ホリィさんがどうなろうと! 世界が滅ぼうと! どうだっていいんだ!」
…あんたらは、自由だ。他人を心配する心の余裕があるほど。
「今日1日!! 生きる事に必死でいる!! 大学行って、就職して! 早く安定した収入が欲しい! 安定した生活が欲しい! ばあちゃんだって、バイトだって学校だってある!!!」
でも俺は違う。違うんだ。
感極まって声が震える。
「お前らとは……! 違うんだよ………!!」
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カレーライス(プロフ) - 鼎さん» ありがとうございます! そう言ってくださると、モチベーションが上がって書くのが楽しくなります! これからもよろしくお願いします! (2019年11月26日 21時) (レス) id: 62819c8559 (このIDを非表示/違反報告)
鼎(プロフ) - すっごい面白いです…一気読みしてしまいました…!更新はご自分のペースで無理をなさらない程度に頑張ってください...!ずっと応援してます! (2019年11月25日 7時) (レス) id: 7b1eca840c (このIDを非表示/違反報告)
カレーライス(プロフ) - ASTEさん» ありがとうございます! 頑張ります! (2019年8月16日 12時) (レス) id: 62819c8559 (このIDを非表示/違反報告)
ASTE(プロフ) - めっちゃ好きです!!!更新頑張ってください!!! (2019年8月15日 19時) (レス) id: 2389d4e467 (このIDを非表示/違反報告)
カレーライス(プロフ) - ツティスさん» 感想を言って頂けて嬉しいです。これからも、龍兎たちをどうぞよろしくお願い致します! (2019年8月10日 16時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
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