【煉獄杏寿郎】誰も死なない未来。

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鬼の手が私の首に回っている。
身動きがとれない。


しかし、私がこの鬼を倒さなければならないのだ。



片手で刀を握り直し、鬼の腹に突き刺す。


「ぐぁッ!!」


鬼の腕の力が緩んだ隙に間合いをとった。



「雪の呼吸 壱ノ型、雪結晶」


身体を捻り、技を出す。
私の連撃を受けた鬼から血飛沫が上がる。


「血鬼術 血飛複製(ちしふくせい)」


「なッ…！」


奴がそう呟いた瞬間、目の前に複数体の鬼が現れた。

こいつ、自分の血から分身を作っているのか。

だから床の裏に血管が……



「ほら、かかっておいで」



不気味な笑顔を貼り付けて、鬼が手招きしてくる。

どれが本体だかわからない。


＿＿＿ならば。



「全員斬り殺すまで」



すうっと息を深く吸い、ゆっくりと瞬きをする。



「雪の呼吸 陸ノ型、冬鈴の雪原」



両手で刀を握りしめ、大きく横に振った。

次の瞬間、一気に三体の鬼の頸が地面に転がる。



「凄いね、君は。柱なのかな？」


「そんなこと知らなくても良いでしょう？貴方はどうせすぐに死ぬわ」



刀を振り、付いていた血を飛ばす。

鬼が増えないということは、本体を斬った訳では無いのか。



「"輪廻の迷い子"は柱だった…凄い、良い展開」



うっとりと微笑を称える目の前の鬼の頸に刀を向ける。


「雪の呼吸 肆ノ型、冷涼透雪」


勢いよく斜めに刀を振り上げて頸を落とし、背後にいる鬼から距離をとる。



「残念、僕は"当たり"だよ」



飛び散った血飛沫から、また鬼が複製される。



途方もなく、同じことが繰り返されていた。




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