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「A!起きろA!」


杏寿郎の声にゆっくりと目を開く。
あれ、名前で呼ばれてる……?


「君が寝坊するなど珍しいな!」


大きな手が優しく私の頬を撫でた。

あぁ、これは夢だろうか?

この人は杏寿郎だ。
私の"夫"の、杏寿郎なんだ。


「朝飯の用意は千寿郎が済ませている!…何故か俺が作ると言ったら断られてしまってな!」


「……杏寿郎!」


「む!どうした!」


バッと起き上がり、彼の胸に飛び込んだ。

今までどれほどこうしたかった事か。
どれほど杏寿郎の体温を全身で感じたかったことか。

じんわりと溢れ出る涙を彼に見せぬよう、頭を杏寿郎の胸板に押し付ける。


「よもや、怖い夢でもみたのか!」


そう言いながら、私の頭をぽんぽんと撫でる杏寿郎。

そうだ、あれは悪い夢だったのかもしれない。


杏寿郎はずっと生きていて、私は刀を持つことはなくて。
師匠も、死ぬことはなかった。



………あれ、師匠って誰だっけ?

大切な人だったはずなのに、名前が、顔が、思い出せない。


「どうしたんだ?」


「…なんでもないわ」


靄のかかった男を頭から消し去って、私はニコリと笑顔を浮かべた。

すると杏寿郎は、私の手を取り立ち上がる。


「朝食を食べに行くぞ!」


「えぇ」


私もその場に立ち上がり、彼の後ろに続いて居間へと歩く。





「おい」


「え?」


途中、誰かの声が聞こえて後ろを振り返った。

男が私を見下ろしているのが見えて、思わず肩をビクリと揺らす。


「お前、こんな所で何してんだよ」


「何って……貴方こそ、人の家何をしているんですか?」


眉をひそめて逆に問返せば、男は表情を変えずに言葉を連ねた。


「忘れたのか?お前は鬼殺隊だ。雪柱だ。お前は、刀を握って戦わなければならない。煉獄杏寿郎を救うために」


「救うって、杏寿郎は生きているわよ?」


胸のざわめきを無視するようにそう答える。
本当は、心のどこかでわかっていた。

でも、認めたくなかった。




「お前は、俺の継子だ。俺の、自慢の弟子だ」




師匠が、笑う。
優しくて、どこか飄々とした笑みを浮かべる。


それは懐かしくて、切なくもあった。



「___はい」



そう頷いた瞬間、彼の手が、私の頭の上に乗った。



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フェイタン - すーーーっごくよかったです!!(泣) ありがとうございましたーー!!!! (2019年12月7日 23時) (レス) id: 45eedb7288 (このIDを非表示/違反報告)
煉獄さんの嫁になりたい(プロフ) - どうしてくれるんですか……バスタオルがびしょ濡れなんですけど!私を脱水症状にさせる気ですか!最高でした有難うございます! (2019年11月13日 16時) (レス) id: 60ba35ccc3 (このIDを非表示/違反報告)
リズ(プロフ) - 凄く面白かったです!ありがとうございます!他作品も頑張って下さい! (2019年11月3日 19時) (レス) id: 96dd58bc45 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - 眞孤さん» コメントありがとうございます!私も師匠大好きなのでとっても嬉しいです! (2019年10月29日 19時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
眞孤(プロフ) - 今日見つけて一気に読んでしまいました…!とっても面白かったです!特に師匠が好きでした…オリジナルで書けるなんてすごいです!( ´艸`)とっても素敵な作品をありがとうございました! (2019年10月28日 2時) (レス) id: 38cda14dee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年10月12日 13時

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