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「ヒノカミ神楽という言葉も初耳だ!君の父がやっていた神楽が戦いに応用できたのは実にめでたいが、この話はこれでお終いだな!!」
「え?ちょっともう少し…」
"ヒノカミ神楽"を知っているか、と杏寿郎に尋ねた竈門くんは、突然話を切り上げられ戸惑っているようどった。
横からそんな様子を眺めながら小さく首を傾げる。
私もそんな言葉は聞いたことがない。
お義父さんは何か知っているだろうか。
「俺の継子になるといい!面倒を見てやろう!」
相変わらず突拍子もないことを言い出す杏寿郎。
そうか、杏寿郎は継子を探していたのだった。
千寿郎くんは剣の腕が特別良い訳では無く、日輪刀を握っても色が変わらなかった。
それでもあの子は、途中でひねくれることなく優しい子に育った。
家事もよく手伝ってくれたし、たまに自分から稽古もしていたし…
しみじみと千寿郎くんの成長を思い返していると、突然ぽんと肩を叩かれる。
「雪園が使う雪の呼吸も、水の呼吸の派生だ!」
「そうなんですね!」
いつの間にか、話題は私に移っていたらしい。
キラキラとした瞳でこちらを見つめてくる竈門くんに、とりあえず微笑みを向けておく。
「Aさんは、自力で雪の呼吸を会得したんですか?」
「いえ、私の師匠が会得したものですよ」
私がそう答えると同時に、ガタンと列車が動き始めた。
「うぉぉぉ!!すげぇすげぇ、速ぇぇぇ!!」
大声に顔を横に向けると、嘴平くんが窓から外に出ようとしていた。
自分の顔から血の気が引いていく。
「危ないわ嘴平くん!」
「俺、外に出て走るから!!どっちが早いか競走する!!」
「馬鹿にも程があるだろ!!」
慌てて彼を引っ張り戻そうと立ち上がるが、我妻くんが先に彼を止めに行った。
危なかった…
「危険だぞ!いつ鬼が出てくるかわからないんだ!!」
「……え?」
数秒後、案の定我妻くんは「降ろしてぇ!!」と泣き叫び始めた。
「短期間の内にこの汽車で四十人以上の人が行方不明となっている!数名の剣士を送り込んだが、全員消息を絶った!だから、柱である俺と雪園が来た!!」
「はぁー!!なるほどね!!降ります!!」
こんな時でも溌剌と喋る杏寿郎に、我妻くんが更に騒ぎ出す。
この子強いのに、どうしてこんなに怖がるんだろう…
いっそ清々しく思えてくる怖がりっぷりに、私は思わず苦笑いを浮かべた。
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フェイタン - すーーーっごくよかったです!!(泣) ありがとうございましたーー!!!! (2019年12月7日 23時) (レス) id: 45eedb7288 (このIDを非表示/違反報告)
煉獄さんの嫁になりたい(プロフ) - どうしてくれるんですか……バスタオルがびしょ濡れなんですけど!私を脱水症状にさせる気ですか!最高でした有難うございます! (2019年11月13日 16時) (レス) id: 60ba35ccc3 (このIDを非表示/違反報告)
リズ(プロフ) - 凄く面白かったです!ありがとうございます!他作品も頑張って下さい! (2019年11月3日 19時) (レス) id: 96dd58bc45 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - 眞孤さん» コメントありがとうございます!私も師匠大好きなのでとっても嬉しいです! (2019年10月29日 19時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
眞孤(プロフ) - 今日見つけて一気に読んでしまいました…!とっても面白かったです!特に師匠が好きでした…オリジナルで書けるなんてすごいです!( ´艸`)とっても素敵な作品をありがとうございました! (2019年10月28日 2時) (レス) id: 38cda14dee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年10月12日 13時