* ページ22
・
「!!」
目の前の光景に、私は思わず目を見開いた。
突如現れた不死川が妹の入っている箱に刀を刺し、それを見た竈門炭治郎が怒りで彼の頭に頭突きを食らわせたのだ。
周りの柱の殆ども、驚きを隠せぬようにそれを見つめている。
「ぷっ…すみません」
蜜璃ちゃんが思わず吹き出し、両手で顔を覆う。
なんとも言えぬ空気になったとき、竈門炭治郎は箱を庇うようにして不死川を睨みつけた。
「善良な鬼と悪い鬼の区別もつかないのなら…柱なんて辞めてしまえ!」
そう言い放った竈門炭治郎に、私は内心冷や汗をかく。
すごいなこの子、柱にこんなこと言うなんて…
それも不死川だし。
「てんめぇ…ぶっ殺してやる」
不死川から殺気がもれだした。
まずい、これは本気で殺す気だ…!
「しなずが___」
「お館様のお成りです」
竈門炭治郎を庇おうとしたその瞬間、そんな声が聞こえて身体の動きを止める。
「よく来たね。私の可愛い子供たち」
お館様の、心地の良い声に目を細める。
あぁ、このお方は今日も素敵だ…
「おはようみんな、今日はとても良い天気だね。空は青いのかなぁ…顔ぶれが変わらずに、半年に一度の柱合会議を迎えられたこと、嬉しく思うよ」
お館様がそう言い終わった瞬間、私は頭を垂れ膝をついた。
「お館様におかれましてもご壮健で何よりです。益々のご多幸を切にお祈り申し上げます」
「ありがとう、実弥」
また先を越された。
今度こそは私が言おうと思っていたのに…
そう考えながら、グッと溜息を押し殺す。
「恐れながら、柱合会議の前にこの竈門炭治郎なる鬼を連れた隊士について、ご説明いただきたく存じますがよろしいでしょうか」
片手で竈門炭治郎の頭を押さえつけながら、不死川がそう言った。
少し可哀想だ。そこまでしなくても良いものを。
「そうだね。驚かせてしまってすまなかった」
お館様が、穏やかな眼差しを向けながら口を開く。
「炭治郎と禰豆子のことは、私が容認していた。…そして、みんなにも認めて欲しいと思っている」
その言葉に、僅かに皆が息を飲んだのがわかった。
私だって驚いている。
お館様は…鬼を、鬼殺隊士として認めていたのだ。
……しかし私は、それを認めたくない。
鬼を生かしておくなんて。
でもそれは、"私自身"が怖いからだ。
また奪われてしまうのだと、怯えているからだ。
本当は、その鬼に殺されてしまうかもしれない人々を案じるべきなのに。
・
678人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フェイタン - すーーーっごくよかったです!!(泣) ありがとうございましたーー!!!! (2019年12月7日 23時) (レス) id: 45eedb7288 (このIDを非表示/違反報告)
煉獄さんの嫁になりたい(プロフ) - どうしてくれるんですか……バスタオルがびしょ濡れなんですけど!私を脱水症状にさせる気ですか!最高でした有難うございます! (2019年11月13日 16時) (レス) id: 60ba35ccc3 (このIDを非表示/違反報告)
リズ(プロフ) - 凄く面白かったです!ありがとうございます!他作品も頑張って下さい! (2019年11月3日 19時) (レス) id: 96dd58bc45 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - 眞孤さん» コメントありがとうございます!私も師匠大好きなのでとっても嬉しいです! (2019年10月29日 19時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
眞孤(プロフ) - 今日見つけて一気に読んでしまいました…!とっても面白かったです!特に師匠が好きでした…オリジナルで書けるなんてすごいです!( ´艸`)とっても素敵な作品をありがとうございました! (2019年10月28日 2時) (レス) id: 38cda14dee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年10月12日 13時