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「雪園!今はこの竈門炭治郎の話を聞こうとしていた所だ!!」


相変わらず快活な声でそう言う杏寿郎に、笑顔を崩さぬまま目を細める。

うん、よくわからない。


「この坊やが鬼を連れて鬼殺隊の任務に当たっている理由……それを聞こうとしていたんです」


しのぶさんがにこやかにそう付け足してくれたので、ようやく理解することができた。
鴉が言っていた、「鬼を連れた鬼殺隊士」は彼のことだろう。


「竈門炭治郎くん……何故鬼殺隊員でありながら、鬼を連れているのですか?」


優しげな声音でそう尋ねるしのぶさんに、私はどうにも胸が苦しくなった。

本当はすぐにでもこの鬼殺隊士諸共殺してしまいたいはずなのに。


「聞くまでもねぇ」


「ゆっくりで大丈夫ですから、話して下さい」


宇髄さんが刀を握るが、それを無視してしのぶさんは竈門炭治郎に語りかけていた。
咳込む彼に瓢箪を差し出し、顎を痛めているからゆっくり飲めと指示する彼女はまるで女神様のようだった。

私も、どれだけ彼女の振る舞いに救われたことか。

その水を飲み込んだ竈門炭治郎は、すっと顔を上げ語り出す。


「鬼は…俺の妹なんです。俺が家を留守にしている時に襲われ…帰ったらみんな死んでいて。妹は鬼になったけど、人を襲ったことはないんです。今までも…これからも!人を傷つけることは、絶対にしません!」


揺るぎない瞳で、彼は真っ直ぐに私たちを見つめながらそう言った。

家族を全員失ったのか。

そして、妹は鬼として生き残っていた、と。


周りの柱が、「竈門炭治郎隊士を殺す」というような旨のことを言っている間に、彼の話を整理する。


「……すみません、少し話しても良いですか?」


私はすっと手を挙げ、口を開いた。

普段柱合会議で自ら意見を言うことはあまりないので、周りの柱たちから驚きの視線を向けられる。


「その、禰豆子という鬼は鬼である以上頸を落とす他ありません。…しかし、"人"である竈門隊士を殺すのは少しおかしいような気がするのです」


私の発言に、皆は口々に異論を言い始めた。


「何故だ!この者は隊律違反をしたんだぞ!」


「鬼を連れるなど、派手にあっちゃいけねぇことだ!」


「あの……でも疑問があるんですけど、お館様がこのことを把握してないとは思えないです…勝手に処分を決めちゃって良いんでしょうか……いらっしゃるまでとりあえず待った方が」


蜜璃ちゃんの言葉に、私たちは黙って顔を見合わせた。



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フェイタン - すーーーっごくよかったです!!(泣) ありがとうございましたーー!!!! (2019年12月7日 23時) (レス) id: 45eedb7288 (このIDを非表示/違反報告)
煉獄さんの嫁になりたい(プロフ) - どうしてくれるんですか……バスタオルがびしょ濡れなんですけど!私を脱水症状にさせる気ですか!最高でした有難うございます! (2019年11月13日 16時) (レス) id: 60ba35ccc3 (このIDを非表示/違反報告)
リズ(プロフ) - 凄く面白かったです!ありがとうございます!他作品も頑張って下さい! (2019年11月3日 19時) (レス) id: 96dd58bc45 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - 眞孤さん» コメントありがとうございます!私も師匠大好きなのでとっても嬉しいです! (2019年10月29日 19時) (レス) id: 8487e33076 (このIDを非表示/違反報告)
眞孤(プロフ) - 今日見つけて一気に読んでしまいました…!とっても面白かったです!特に師匠が好きでした…オリジナルで書けるなんてすごいです!( ´艸`)とっても素敵な作品をありがとうございました! (2019年10月28日 2時) (レス) id: 38cda14dee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年10月12日 13時

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