【A3!】攻略対象はゲームじゃなくて【ガチゲ組】 (ページ10)

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第6話裏ページ10

画面を開いたまま待機してると5分も立たず、その人の配信は始まった。

その瞬間、画面はコメントで埋め尽くされる。

《うぽつー》
《待ってたよー!》

こういうコメントが多く流れる。
まだ当の本人は一言も発していないのだが、これだけでこの人の人気が見受けられる。

《やっほーたるちだよー》

"たるち"

それがこの配信者のユザネだ。

いつもなのだが、たるちは顔出しせず、ゲーム画面のみで実況が行われる。

この条件下だったら他にも配信をしている人は沢山いる。

けどこの人は、俗に言う"神ゲーマー"なのだ。

兎に角手際がよく、ミスもほぼなく進められていく。

そんな人が実況をしているのだ、当然人気は出る。

因みに割と女性も見てるらしい。

ゲームをそこまでしてない女性達からすると《甘々ボイス》《イケボ》との事だ。

男女共に人気のあるこの人は、私生活を全く出していないのでどういう人だかも検討がつかない。

取り敢えず、課金額は凄そうってことだけは言える。

.

.

《てことで、今日はここまでね》

たるちの神プレイに見とれていたら、もうそんな時間になっていたらしい。

《じゃ、おつおつ～》

画面が暗くなり、配信が終わった。

時間を見ると丁度22時。

私はパソコンを閉じ、代わりにスマホを手に持ち、とあるアプリを開けた。

"城の守り人-fight the enemy-"

通称、守り人と呼ばれるこのアプリ。

…ネーミングセンスには笑うけど、内容は面白いものだ。

ユーザーは兵隊長。お城を守る為に攻め込んでくる敵をぶっ潰していくものだ。

18時、22時の２回、他ユーザーと対決するランキング争いがあるのだ。

ランキング上位になると良いアイテムが貰えるので、無課金だけどちょっと頑張ってたりする。

因みに、今のところ私は1位だったり。

課金廃(私の勘)のたるちもこのゲームをやっているが、このたるちより上位にいる。

22時からのランキング戦に参加する為、エントリーボタンをタップした。

…今回の相手が表示され、少し驚いた。

今私の中で話題になっていた、あのたるちだったからだ。

____絶対に勝ってやる！

そう思っていた頃、この寮内に私と同じ事を思っていた人がいた。

"ぶっ潰す"

そんなこととは露知らず、私は戦場に出る。