【A3!】攻略対象はゲームじゃなくて【ガチゲ組】 (ページ4)

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第1章心の穴ページ4

『ここが "MANKAIカンパニー" …?』

演劇の聖地【ビロードウェイ】。

劇場だらけのこの通りの端っこにお目当ての劇場はあった。

【MANKAI THEATER】

入り口にそう書かれた劇場は、建物自体は古いという訳では無いのに何故か廃れているように見えた。

劇場の前で狼狽えてると、

｢Aちゃん!｣

私をここへ呼んだ人の声が聞こえた。

その声の方を向くと

『いづみ先輩!』

その人がいた。

いづみ先輩は、私が以前まで所属していた劇団の先輩。まあ私が辞める結構前に辞めてしまったのだが。

あの劇団で、唯一信頼出来る人がいづみ先輩だった。

先輩は…私が言うのは失礼かもしれないが、かなりの大根役者だった。それでも、めげずに練習に励んでいて…そして、私なんかをいつも気にしてくれてて、先輩が辞める時も｢困ったらいつでも相談してね｣と連絡先までくれた。

そんな先輩が、今回私を頼ってきたというから来たのだが、理由はそれだけではない。

先輩に駆け寄り、挨拶も程々に本題に入る。

『あの、先輩。マネージャーってどういう…』

すると先輩は驚くような事をスラスラと口に出す。

｢あのね、私昨日からここ、MANKAIカンパニーの総監督をしてるの。それで、色々あって潰されちゃう間際でね…だから、Aちゃんの力を借りたいなって思って。
それに御両親からお話を伺って、Aちゃんが心配で…｣

…えっと?

『まず何故監督に…？』

｢私のお父さんが昔ここの監督をやっていたんだけど、まあちょっと成り行きでね…｣

眉を顰めながら話す先輩。

『そうなんですか…私なんかでよければお力になりたいんですけど、本当に私なんかでいいんでしょうか…?』

そう言うと、先輩は何故か怒り始めた。

｢なんかって…そんな自分を卑下する様なことを言っちゃダメ!私はAちゃんだからお願いしようと思ったの。
頑張り屋のAちゃんだから…きっと、MANKAIカンパニーの為に頑張ってくれると思ったから。

それに、演劇はまだ好きなんでしょう?｣

そう微笑む先輩。

その笑顔に私は

『頑張り屋なのは先輩の方じゃないですか…全く…勿論』

"まだ好きですよ"

そう、出来る限りの笑顔で先輩に応えた。

『マネージャー、やらせて下さい。』

こうして、私は自分の心の穴を埋める為にマネージャーになった。

To Be Continued…