友から相棒へ。そして【ゲゲゲの鬼太郎】 (ページ9)

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とある地獄の話7 ページ9

なぜ目の前の男が泣いているのか訳もわからず、何か知ってそうな閻魔大王に目を向けたが合わせようとしない。

『何か、隠してるんですね。俺に、
…俺にまだ何を隠してるんですか！』

閻魔大王「ぐっ…それ、は…」

『俺は水木に自分から死を望むようなことを発言するなと散々伝えてあるのはお分かりですよね！それなのに、黙ってたんですか？』

閻魔大王「そ、それは…それはな、」

「儂が黙っていてくださいと頼んだ」

後ろを振り向くと、そこにずっと居たのか柱の影から出てきたのは五官王だった。

『何故、何故黙っていたのですか！』

五官王「さすれば気を病むだろう。
月、桜、暗闇も駄目ならばお前は1人になる」

『…水木だって、月と桜は』

五官王「お前ほどではない。
その二つに対するお前の拒絶反応は異常だからな
その二つも治せていないのに、もう一つ増えたらお前は治すのも嫌になるだろう。違うか？」

『そ、それは…多分そうだろうけど…』

五官王「大王もそれを考慮し今まで黙っていてくれたのだ。
だから、もう喚くな」

『……はい、ごめんなさい』

閻魔大王「我々に謝罪ではなく、一番しなくてはいけない相手は誰だ？」

2人にはよ謝れ。と言う視線を背中で受けながら、まだ泣き止まない水木に頭を下げた。

『自分のことなのに、知らなくてごめんなさい。』

水木「…ぐすっ、」

『な、泣かないでくれよ、もう…
俺、泣かれると、どうすればいいかわからないんだ…』

旦那様も、奥様も
泣いたことはなかった。
旦那様は泣き上戸だからよく泣いていたがこの涙と今水木が流している涙は意味が違うのは俺でもわかる。

俺が泣いた時、奥様は背中さすって抱きしめてくれたっけな。幽霊族は体温が低いのにあの時は暖かかった。
心がポカポカした。心地が良かった。

同じようにすれば、水木は喜ぶだろうか。
きっと、誰かの真似事をすんなって怒るんだろうか。
でも、俺がそうしたかった。
そう言えば水木は受け止めてくれるだろうか。
あいつは俺の上の上の考えに行ってしまう。
だからきっとそんな考えも筒抜けなんだろうな。

水木に気づかれぬよう、自然に背中に腕を回し、そのまま泣いている子どもを慰めるよう抱きしめ頭を撫でてやった。
いろんなことを考えていた。
その選択肢の中にある行動を水木はしなかった。

水木は余計に泣き出してしまったから。
きっといろんなことを考えてキャパオーバーになってしまったんだろう。