とある地獄の話 6 ページ8
水木「…冤罪、」
閻魔大王「信じ切ることができなかった
それを伝えに行った時、Aは笑っていた」
水木「わら…って?」
閻魔大王は頷くと、あの笑みは 馬鹿にしたような笑みだった。そう悲しそうに話すとAの頭を小指で撫ではじめた。
だから言っただろ?そう笑みを浮かべながらあらゆる穴から灼熱の炎を注ぎ込まれ全身黒ずみ、人体炭ができそうなほど焦がしていた炎を念力を使い消し去ると何事もなかったかのように立ち上がった。
『釜を作らせていただきました。
ここにいる獄卒達とは仲良くなりまして、全て話したら書類ひっくり返して漁った結果獄卒たちの中で私めは無罪という形になりまして、自由にしていいけど閻魔大王が下した罪には従ってもらうとのことで、火に焼かれながら作らせていただきました』
にこりと笑ったAの表情は、辛そうだった。
水木「…さま、
閻魔大王様!」
はっ、と我にかえると心配そうな表情を浮かべながら水木は閻魔大王を見つめていた。
閻魔大王「す、すまない。
何の話をしていたか…?」
水木「い、いえ
もう、大丈夫です。」
『ん、んん……』
手の中で体を動かすと目が覚めたのか目を擦りながらAは上半身を起き上がった。
『ふぁあ…、
あれ?』
体を伸ばし、辺りを見渡すとそこにあったのは閻魔大王の顔だった。
『……何かまたしました?』
閻魔大王「しようだったから止めたまでだ。」
『ではお咎めなしですね!』
閻魔大王の掌から飛び降り水木の隣に着地した。
『お待たせ。
大王様と仲良さそうに話していたみたいだけど、
ちゃんと心の中にしまっておくんだよ』
じゃないと悪い妖怪に悪用されちまうからね。
心臓がある位置をトン、トン。と2度叩くと水木は固唾を飲み込んだ。
なぜこの男がこの話を教えなかったのか、
それは自身が辛い思いをしたからではない。
閻魔大王が初めて犯した冤罪と、無間地獄の中にA専用の妖力の源があるからだ。
『大王も大王です。
まだ妖怪にもなってない、心も体も不完全な水木にこんな大事なこと伝えるのはまだ早いです。
段階というものがあります』
水木「でも、ずっとはぐらかされてた」
『だからそれはお前の』
水木「上司から急に殺してくれなんて言われたやつの気持ちお前にわかるのかよ!!」
『な、にいって…
殺してくれなんて言うな!!』
水木「それはこっちのセリフだクソ妖怪!!」
両手を握り締め、我慢できずこぼれ落ちる涙。
222人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わーい | 作成日時:2023年12月29日 7時