とある地獄の話 5 ページ7
閻魔大王「水木が、1人で帰ってきたから嫌な予感がした。
五官王の名を呼んだが、儂が来た。
すぐそばまで五官王も来ているが、いつの間にか貼った札のせいで入ってこれぬ。最初から、水木が五官王を呼ぶのを知っていて、五官王等が入られぬ様新しく作ったのだろう。」
水木「そ、それより、Aさんが死んじゃいます！」
閻魔大王は頷くとしゃくを取り出しAの額に当てた。
閻魔大王「眠れ。さすれば元通り」
うつらうつらと意識が無くなり始め赤かった目は元の色に戻り目を瞑った。
何事もなかったかの様に寝息を立て眠り始めた。
一気に力を抜き、Aの真横に並んで寝る様に倒れ息を深く吐き出した。
水木「殺しちまうところだった……」
頭に来ても手を出すのはやめようと心に決めた水木。
それを見て閻魔大王は息を吐いた。
閻魔大王「地獄の炎も釜に入れてしまったか…」
水木は起き上がると閻魔大王の近くにより釜ってなんのことですか？と質問した。
閻魔大王「Aの力の源のようなもの、
無間地獄に新たに生成された、誰にも触れられない釜だ」
水木「無間地獄…、待って、ください。
という事は、Aさんは一度無間地獄に？」
閻魔大王「……冤罪でな、行ったことがある」
水木「無間地獄って、一度入ったらもう……」
閻魔大王は静かに頷くと、眠ってしまったAを手に乗せ移動しはじめた。
閻魔大王「これは、儂のせいだ」
水木は黙り込み、そのままついていった。
火の玉が足元を照らし閻魔庁にあるAの自室へ向かっていった。
その時に溢すようにポロポロと話したのはAが今まで教えてくれなかった数十年間の地獄の日々。
断片的だが、これはAが教えたくもない、思い出したくもない話だった。
閻魔大王「鴉天狗の加護を誰かに与え、自身の治癒能力は人間並。
ボロボロの状態なのにも関わらず人間の為、妖怪の為
大切な者の為に力を使っていたAを儂は信じることができなかった。」
補佐官が見守る中下された判決は無間地獄行き。
目を瞑り、判決を黙って受け入れた。
無間地獄に投げ入れられるその瞬間、もし水木が来たら、頼みます。それだけ言い残しみずから無間地獄の入り口へと入っていった。
閻魔大王はその頼みは守らねば。そう思っていた
もし水木が来たら、地獄の裁きを受けさせらことなく地獄で働かせようと思っていた。
だが、水木が来る前に自身が下した判決が間違っていたことに気づいてしまった。
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作者名：わーい | 作成日時：2023年12月29日 7時
