とある人間界の話 3 ページ5
その封印札の中では、きっと中に入っている沢山の狂骨にあとから入ってきた雪入道に対して満員だ。と怒り狂い雪入道を喰らいはじめているんだろうな。と頭の片隅で思った。
雪入道も消えた今、冷気がなくなり固まっていた御子息様のお仲間は氷が溶け起き上がった。
何が起きたかわかっていないのか、辺りを見渡し状況を把握しようと努力し始めていた。
自由になった左半身に異常がないか動かし、地面に落ちていた錫杖を拾い札を拾い上げた頃に人影を感じた。
顔を上げるとそこにいたのは、なぜお前がここにいる。と言いたそうな表情を浮かべている鬼太郎だった。
『…地獄の炎を回収します、旦那様』
目玉親父「雪入道は、どうなったんじゃ?」
『狂骨に食われて一生痛みに苦しみながら封印されてます。
まあ、狂骨用に一生出られないようにしてあるので、出られませんよ』
目玉親父「すまなかったのぉ…呼び出してしまって」
『いえ、私めとしてはもっと早くに呼び出して欲しかったですが…
地獄の炎を使い切ればどうなってしまうか、旦那様ならわかっておるものだと思っておりましたが…』
目玉親父「鬼太郎を助けるためじゃったんじゃ…
雪女の氷は、地獄の炎でしか溶けないから…」
『………』
鬼太郎「父さんに名前呼ばれなければ来れませんでしたよね」
『…御子息様、』
鬼太郎「もう戻っていただいて構いません。ありがとうございました」
目玉親父「鬼太郎!」
助けてもらったのに、なんて態度を!と頭の上でポコポコと息子の頭を叩き始めた目玉親父。
まあ、毛嫌っているのは昔からだから。
急にいなくなったってのも、原因の一つだろうな。
他にも色々あるし、この溝は一生塞がらないだろうな。
『……また、何かあったら呼んでください』
鬼太郎「呼ばないよ。
あなたの事は、もう呼ばない」
『…そうであって欲しいです。
私めも、人間界には来たくありませんので』
目玉親父「A…!」
名を呼ばれるが、何も言わずに炎を受け取りそのまま姿を消した。
なぜこんな溝が生まれてしまったのか、
ことの発端は100数年前、勝手に自分が出ていった日。
御子息様に何も言わず誕生日の日に消えた。
あの日を境に御子息様は自分の力を制御できなく、暴走した。
暴走した日、すぐに駆け付けた。
そして俺の存在を隠し、全て御子息様のそばにいられる蒼坊主に全てを託した。
その結果何も知らずに育った。
これでいい、これを望んでいた。
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作者名:わーい | 作成日時:2023年12月29日 7時