とある鴉天狗の話 ページ44
水木side
目が覚めると鬼太郎じゃない誰かの泣き声がした。
声がする方に向かい、襖を少し開けるとそこにいたのは四つん這いになって頭を布団に擦り付けながら唇を噛み締め声を殺し泣いているAの姿。
いつもは、ツンとして、表情豊かとは言えないあいつが、泣いていた。
自身の子でもない、死んでしまった奥さんと旦那さんの代わりに働き、怪我してもその怪我を治さず荒治療で隠すようなことをしているこの男が、布団がびしょ濡れになるまで泣いている。
今日は少し1人にしてやろう。そう思い何もなかったように襖を閉め自分の部屋へと戻り眠りについた。
朝になり、いつもの時間に目が覚めいつものように顔を洗いに行こうと台所に行くとAは立っていた。
少し節約しようと提案され、庭に植えた野菜をAは包丁を使い切っていた。
とまとにきゅうり、そしてレタスを使いもうすでにサラダが出来上がっていた。
水木「お、はよう…どうしたんだよ、これ」
『おはようございます。…少し早く目が覚めたので。
いつもはできませんが時々…しようかと』
水木「今日俺休みだぞ？」
『なら尚更今日できてよかった』
今日の夜泣いていたはずなのに、目元は腫れてないし赤くもなっていない。
人型になる術を重ねているのか？
水木「…今日お前は任務は？」
『ありません』
水木「そうか」
『今日、空いてますか？』
水木「あ？あー…まあ、鬼太郎と遊ぼうとしてたぐらいだから」
『なら、御子息様も連れて出かけませんか』
冷蔵庫の中に入っていた卵を使い３つフライパンに割って落とした。
水木「どこにだよ」
『……さあ、あまり私めは人間界に詳しくありませんので、水木さんが行きたい場所とかいかがですか？』
水木「俺はねぇよ」
『…そうですか、わかりました』
火を止めると台所横の扉を開けると外に出た。
怒らせてしまったのか？そう思い後ろを追いかけるとAは指笛を吹いた。
体感ざっと5分ぐらいたった頃風が強く吹いた
砂埃が起きたが目の前には何もいない。
それなのにAには何かが見えているのか、少し微笑みながら話し込んでいた。
人間には理解できない言葉で話すAの姿を見てやはりこの男も、あの目玉も鬼太郎も妖怪なのかと再確認した。
『銀座のデパートはどうかと』
水木「銀座？」
『ええ、そこの屋上でクリームソーダも売ってるみたいです。いかかですか？』
水木「……わかった、そこに行くか」
断る理由が見つからなかった
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わーい - ひあのさん» 返信遅くなり誠に申し訳ありません。ありがとうございます！早く完結できるよう頑張ります！ (12月13日 8時) (
レス) id: caa96760da (このIDを非表示/違反報告)
ひあの(プロフ) - めっちゃめっちゃ面白いです！！更新楽しみにしています！！！！ (12月8日 7時) (レス) @page4 id: 426f9a3d0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わーい | 作成日時：2023年12月7日 8時
