とある話 4 ページ5
『旦那様、ここにもいらしてないみたいです』
ゲゲ郎「…少し、休むか。
ずっと、探しっぱなしじゃったし、そこに湯がある。
浸かろう」
『承知』
あれからある片付け探したが一向に奥様の気配も姿を見た妖怪も見つからなかった。
途中で見つけた山奥にあった自然に湧き出て溜まっている温泉を見つけ、浸かろうと着流しを脱ぎ始めた。
他の妖怪たちも浸かり気持ちよさそうにしていたのを横目で見て旦那様が脱が終わるのを待った。
自分の分とゲゲ郎のを岩場に置くと鴉天狗へと戻り足を湯に近づけた。
少し熱めだが、歩きに歩き回った自分たちにとってはちょうどいい温度になっていた。
ゲゲ郎「ほれ、浸かってみろ。
温かいぞ」
『…失礼します』
岩を掴み湯に全身浸からせるといつも行っていた銭湯よりも気持ちが良く目を瞑ってしまった。
ゲゲ郎「どうじゃ、良いだろう」
『はい、とても。
心地がいいです』
そう、この心地は
いつか、昔。
私めが作った自作の風呂。
炭や木を焼き、温度調節を行ってくれた奥様の時と同じだった。
いつも助けてもらっているからと、奥様自ら調節してくださった時と同じ温度だろう。
旦那様は横にいて火傷しないよう奥様のサポートをしていたっけな…。
そんな幸せな出来事を思い出し、瞑っていた瞳から涙が溢れ落ちた。
旦那様に気づかれないうちに顔にお湯をかけた。
岩に全体重かけ寄りかかった。
空を見上げるとキラキラと満天の星空が広がっていた。
奥様、どちらにおるのですか。
迷っておるのであれば、笛を吹いてください。
すぐさま私めが、
頼りない鴉天狗の私めが駆けつけます故、
奥様、もう一度、私めを呼んでください。
名前でも、笛でも
今だけは、物として扱いくだされ。
岩子［嫌よ、なんだか口笛で呼ぶなんて鳥みたいじゃない］
『ですが、奥様』
岩子［ちゃんと、名前があるんだから。
何かあったら名前呼ぶわよ
物扱いみたいで私は好まないわ。
ちゃんと、あなたは生きてるのよ］
そう言って笑った奥様の笑顔は、
忘れもしない。
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わーい - ひあのさん» 返信遅くなり誠に申し訳ありません。ありがとうございます！早く完結できるよう頑張ります！ (12月13日 8時) (
レス) id: caa96760da (このIDを非表示/違反報告)
ひあの(プロフ) - めっちゃめっちゃ面白いです！！更新楽しみにしています！！！！ (12月8日 7時) (レス) @page4 id: 426f9a3d0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わーい | 作成日時：2023年12月7日 8時
