とある の話 01 ページ40
キィー、キィー、と何やら異音が聞こえ目を開けるとそこは絵に描いたような、人が想像したような、
おとぎ話でよく聞く地獄と言っても過言ではない、そんな光景が広がっていた。
小さな、二人乗り用のボートに乗っているのに気づき、前を向きオールを操作し血の池を優雅に観光している男の横顔を見た。
見たことある顔だったが、思い出せない。
頭の中にもやがかかったかのように記憶が真っ白に染まっていた。
思い出そうとすれば頭痛が酷くなっていった。
頭を抑えると、音がしたのに気づいたのかその男は振り返った。
何も言わずにただ俺のことを見ていたのか、指を鳴らす音が聞こえた。
その音が聞こえた瞬間、頭痛はおさまった。
どんな魔法を使ったんだ。そう思い顔をあげるとその男は嬉しそうな表情を浮かべていた。
その表情に見覚えがあって、胸が苦しくなった。
その男は、オールを池から引き上げボートの上に置くと近くに寄るとしゃがみ込んだ。
池の真ん中であろう場所で、しかも目立つ場所で男2人、周りには溺れている死者であろう、幽霊がたくさんいた。
そんな人達を見ることなく目の前の男はにこやかに、両頬に手をつき嬉しそうに笑っていた。
喋りかけてもこない、こんな気味の悪い事は生まれて初めて…ではない、か。
どっかの村に行った時、気味の悪い事件に巻き込まれた。
あれ、おかしいな…今までこんな事思い出せた事ないのに。
また、何か目の前の男がしたのか?
声をかけようと口を開くと目の前の男も口を開けた。
声が先に出たのは目の前の男だった。
『 そのまま 思い出すんだ 』
水木「え……?」
『 その村で なにがあった 』
水木「そ…の、村で……」
そう、その村で妖怪に…妖怪と、あって……
そいつの、妻を探すついでに……そう、妻を探すついでにMについて……そしたら、
『 そしたら ? 』
水木「 ……妖怪と、妖怪が戦って……
俺の、味方してる妖怪が…倒されて、」
『 それで ? 』
水木「それ、で……、
そいつ、助けるために…、憑かれてる女の子を使って……それで……そいつを助けに…行った、」
『 そこで、なにをした? 』
水木「そこ、で……
そこで……、約束、した」
ガタガタと勝手に体が震え始めた。
目の前が歪む、歪みに歪んで、まともに前を向けない。
今目の前の男がどんな表情をしてるのかすらもうわからなくなっていた。
『 なにを ? 』
水木「 あ、」
ーー足枷に、なるって
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わーい - ひあのさん» 返信遅くなり誠に申し訳ありません。ありがとうございます!早く完結できるよう頑張ります! (12月13日 8時) (レス) id: caa96760da (このIDを非表示/違反報告)
ひあの(プロフ) - めっちゃめっちゃ面白いです!!更新楽しみにしています!!!! (12月8日 7時) (レス) @page4 id: 426f9a3d0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わーい | 作成日時:2023年12月7日 8時