とある家族の話 9 ページ37
ごめんなさい、こんなのが。こんなやつがそばにいて。
『ごめんなさい、鬼太郎…ごめんね、』
バチバチッ、と勢いを増していく体内電気。
ちゃんちゃんこに手を伸ばすと、あれだけ締め上げていたと言うのに、するりと体から引き離された。
きっと、ちゃんちゃんこもこんなことはしたくないと思っているのだろう。
逃げ出そうとしている鬼太郎を抱き潰すように力を込め逃げ出さないようにした。足をジタバタを暴れさせ、脛や膝を蹴られるが、お構いなしに両方の翼を現すと動く右翼を鬼太郎の体に寄り添った。
骨だけが残った左翼は気味が悪いと水木から言われていたため必要な時に出すのは右翼だけと決めていたが、鬼太郎に与えた左翼の肉と羽根。
きっとこれを見れば思い出してくれる。
そんな希望を持っていたが鬼太郎はその抱擁からも逃げ出すと髪の毛針を打ち始めた。
逃げ出すと思っていたのか、全身でそれを受け止めると鬼太郎は毛を束にし引き抜き毛の槍を作り出すとそれを大量に投げ始めた。
足を貫き、肩を貫き、腕をも貫いた。
それでも歩みを止めない目の前の男に鬼太郎は恐怖を抱いた。
なぜこの男は死なないのだ、なぜ動けるのだ。
なぜこんなにもこの男に攻撃すると涙がこぼれ落ちるのだ。
『鬼太郎！
偉いな！強いな！まるで、旦那様の生き写しだ！』
ポロポロと涙が地面に落ち始めた頃、Aは鬼太郎の目の前に立っていた。
両手を広げ、鬼太郎を思いっきり抱きしめ、抱え込んだ。
そして右手で鬼太郎の頭を撫でた。
『大丈夫、大丈夫だよ。
俺だって力の加減できなかったしね。
山二つぐらい吹っ飛ばしたことあるし、だから大丈夫。
戻っておいで』
力が抜け、項垂れている鬼太郎の体を抱き直し、地べたに座りため息をついた。
遅れてやってきた蒼坊主が見た時は家の瓦礫に背を預け、眠っている鬼太郎を抱えながら血溜りを作っていたAの姿があった。
蒼坊主「A！！」
名を呼ばれ、顔を上げると目の前に蒼坊主と手のひらに乗っている旦那様がいた。
『……蒼坊主、さんじゃないですか…』
数回瞬きし、息を吐き立ち上がるとふらついたAの体を蒼坊主は支えた。
『…いや、はや…
その、ね…いや……聞いてると、思いますけど
暴走したのを止めただけで…』
蒼坊主「ひでぇ怪我じゃねぇか！
どうして俺を待たなかった！」
『待っていたら…鬼太郎は
ひとり…だ』
蒼坊主「…っ、」
『俺も、暴走した事あるから
よくわかる』
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わーい - ひあのさん» 返信遅くなり誠に申し訳ありません。ありがとうございます！早く完結できるよう頑張ります！ (12月13日 8時) (
レス) id: caa96760da (このIDを非表示/違反報告)
ひあの(プロフ) - めっちゃめっちゃ面白いです！！更新楽しみにしています！！！！ (12月8日 7時) (レス) @page4 id: 426f9a3d0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わーい | 作成日時：2023年12月7日 8時
