とある家族の話 8 ページ36
『……今日は、御子息様の10の誕生日でございます。
私めの役目は今日で最後でございます』
急に話を逸らすと、水木は眉間に皺を寄せた。
水木「は……？」
『水木様、』
湯船から立ち上がるとみるみるうちに傷口が塞がり始めたが、きっと塞がっているだけで臓器は傷ついたままだろう。
粗治療にも程がある。
『私めは、地獄で待っております』
今まで見たことのないように笑ったAの姿を見ると、すっ、と消えてしまった。
水木「A…？
A！！」
急いで浴室を出てリビングに向かうとそこにあったのは大量の札束と泣いている目玉と誕生日プレゼントを貰ったのか、ラジコンで遊んでいる鬼太郎の姿だけだった。
誰か、ここに今いたはずなんだ。
ここに、今
ずっと、暮らしていたやつがいたはずなんだ。
それなのに、思い出せない。
思い出せない！！
『…記憶をいじらせていただきました。
悲しむことはありません、また会えますから。
その時に、全て
あの村の時のように…』
水木には聞こえない、そして触れることもできない。
透けている体で、水木の体を抱きしめた。
『旦那様、名を呼べばすぐに駆けつけます。
何かあれば、名を』
力強く頷いてくれた姿を見て、微笑んだ。
『別れが惜しいです。』
そう言って幸せそうな表情を浮かべながら消えていったA
鬼太郎にも姿を現していなかったのか、鬼太郎は相変わらずラジコンで遊んでいた
あれから、ひと月と１０日が過ぎた頃
遠い地から名を呼ばれ風を纏い向かい始めた
数分、五分もたっていないだろうか、
呼ばれた地にいくと御子息様が大暴れしていた。
自我を失っているのか、旦那様が名を呼びかけても止まることはなかった。
家を破壊し、暴れ回る御子息の前に降り立つと敵と判断したのか、リモコン下駄を飛ばしながらちゃんちゃんこを腕に纏い飛びかかってきた。
錫杖を素早く取り出しリモコン下駄の鼻緒を素早く切り落とし動けないようにしたがその後の御子息の攻撃をどうしようか考えておらず、御子息の体ごとちゃんちゃんこが巻き付くと体内電気を浴びせられた。
体内電気と共に頭に流れ込んできたのは悲しみだった。
言葉に表せることが難しいほどの悲しみを感じた。
自然と涙がこぼれ落ちるほど。
キツく締められている中、御子息の体を抱きしめた。
長年居た人が急に居なくなった。
その不安と悲しみが力の暴走につながってしまった。
俺は、駄目な奴だ。
子供の気持ちを1ミリも理解できてない
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わーい - ひあのさん» 返信遅くなり誠に申し訳ありません。ありがとうございます！早く完結できるよう頑張ります！ (12月13日 8時) (
レス) id: caa96760da (このIDを非表示/違反報告)
ひあの(プロフ) - めっちゃめっちゃ面白いです！！更新楽しみにしています！！！！ (12月8日 7時) (レス) @page4 id: 426f9a3d0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わーい | 作成日時：2023年12月7日 8時
