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とある家族の話 4 ページ32

ザーザーと雨が降り出した。

雷もゴロゴロと鳴っていてとてつもなく嫌な予感がした。

雨足も強くなっていって、土砂降りの中走って家へと帰っていった。

朝いた時とは打って変わって机はひっくり返ってるわ、旦那様は上半身と下半身真っ二つに割れて涙を流していた。

肝心な奥様は、息をもうしていなかった。

『奥、さま……?』

体に触れると、ひんやりと
今まで以上に冷たく、脈もなかった。

無かった、たった1日、
3日間の猶予をもらったそのうちの1日
きっと、人間がここにきたから?

『おくさま…、』

冷たくなった体を抱きしめると、腹の子供も動かなくなっていた。

『……旦那様、奥様……、私は、どうすれば……』

誰も、守れなかった。

奥様の、言いたかったことも
わからずじまい。

……自分は結局、自分の身が大事だったんだ。
あの村での出来事も、結局は自分の体を治すために血を飲んだ。
自分だけが被害を受けて死ぬと思ったのに旦那様が代わりに庇ってくれた、それなのに、
俺は何も、できなかった。

守ることすら、


突如、扉が開く音が聞こえた。

すぐに気配を完璧に消し、少し離れたところで見守っていると入ってきたのはさっきの男、水木。

この部屋の惨劇さをみて吐き気を催していたが飲み込み、奥様を抱き抱え外に出ていった。

どこに連れて行くのか、そう思い後ろをついて行こうと思ったら旦那様の亡骸から何やら気配を感じた。

しゃがみ込み、のぞいていると目玉が畳に落ちた。

『…目玉』

「う、うぅ…」

『…もしかして、旦那様ですか?』

ゲゲ郎「その声は…、Aか?」

『はい、旦那様、手に
奥様が、埋葬されます』

ゲゲ郎「…そうか、Aが戻ってくるまでに耐えられなかったんじゃのぉ」

『…ごめんなさい、俺…』

ゲゲ郎「謝るでない!」

『でも、』

ゲゲ郎「Aはちゃんと戻ったきたじゃろ!
わしらが、耐えられなかっただけの話じゃ。
そう言えば岩子は……、稚児は…?」

『…行きましょう、手に乗ってください』

ぴょん。と効果音が鳴った気がした。
目玉になってしまった旦那様を手に乗せ雨にならないようもう片方の手で覆い隠し水木の後をついていった

墓場に着くと、水木はシャベルを使い土を掘り起こし、その中に奥様を入れた。

ゲゲ郎「岩子……、岩子や、」

『………』

ゲゲ郎「幸せに、暮らすんじゃよ…
もう、苦しまぬようにな」

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わーい - ひあのさん» 返信遅くなり誠に申し訳ありません。ありがとうございます!早く完結できるよう頑張ります! (12月13日 8時) (レス) id: caa96760da (このIDを非表示/違反報告)
ひあの(プロフ) - めっちゃめっちゃ面白いです!!更新楽しみにしています!!!! (12月8日 7時) (レス) @page4 id: 426f9a3d0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わーい | 作成日時:2023年12月7日 8時

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