とある家族の話 1 ページ29
あの村の事件はニュースになっていた。
そして俺は何故か横になって寝ていた。
近くに置いてあった手鏡を手に持ち覗き込むと誰かが治してくれたのか、綺麗ではないが、少し顔にツギハギが残ってしまったが綺麗な方だろう、治っていた。
起き上がると、左翼の感覚がなくなっているのがわかった。
あの時みたいに、暴走して勝手に動くこともなくなり、羽根を毟った。
手のひらにある羽根は何にも変化せず、そのまま風に飛んでいった。
その姿はまるでたんぽぽの綿毛が飛んでいったような感じだった。
人型に戻り、傷跡を隠した。
『……旦那様と奥様は？！』
翼を隠し、リビングに向かうとそこにいたのは腹が大きくなっていた岩子とそれを幸せそうに撫でながら笑っているゲゲ郎の姿だった。
『奥様……、』
岩子「おはよう、A」
ゲゲ郎「見てくれ！A、
腹を蹴っておる！」
『……ごぶ、じなんで…すか』
ゲゲ郎「……無事ではない、
岩子は、腹の子を産めば死ぬ」
『………』
岩子「…A、約束して？
私がもし、死んでしまった『そんなこと言わないでください！！』…A、」
『折角、折角一緒になれたんです！
一緒にいられるんです！それなのに！死ぬなんて…、、こんなの、あんまりだ…』
岩子「…A」
『…そうだ、血が足りないなら私めの血はいかがでしょうか！抽出すれば幽霊族と鴉天狗の血と分けて出すことがーー』
ゲゲ郎「免疫力が低下しておる、それに臓器も大半機能していない、もう助からないんじゃ
その血があったとしても、岩子の血のほかに他の幽霊族の血も混ざってしまっておる。数滴でも岩子の血じゃないものが混ざれば、岩子はそれだけで腹の子と死ぬぞ。」
岩子「私も、この人も覚悟は決まってるの。
だから、A」
『……少し、頭を冷やさせてください…
でも、私めは奥様達の意見を尊重する予定です…
それがどう意味か、それを真剣に…考えさせてください…』
岩子「…わかった。
３日後に帰ってきてね、必ず」
ゲゲ郎「帰ってくる時にカエルの目玉も頼むぞ」
『…わかり、ました』
縁側に立つと姿を消してから飛び立った。
行き場もなく、頭を冷やしたいからと北へと向かった。
みずきのことは何も聞かなかった
きっと何も知らないのだろう。
『……人間なんか、やっぱり嫌いだ』
左肩甲骨をさすりながらそう呟いた。
風に吹かれ、誰かにその独り言が聞こえるわけでもなく、ただただこの広大な空の中に消えていった。
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わーい - ひあのさん» 返信遅くなり誠に申し訳ありません。ありがとうございます！早く完結できるよう頑張ります！ (12月13日 8時) (
レス) id: caa96760da (このIDを非表示/違反報告)
ひあの(プロフ) - めっちゃめっちゃ面白いです！！更新楽しみにしています！！！！ (12月8日 7時) (レス) @page4 id: 426f9a3d0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わーい | 作成日時：2023年12月7日 8時
