とある話 26 ページ28
そこから、毎日通うようになって、
毎日来るのは大変だろうからって躾けられて、
呼ばれたら来てと言われて、毎日ワクワクしながら待っていた記憶。
呼ばれることはなく、旦那様も死んでいた。
ああ、呼ばれなかった
呼んでくれなかった
呼んでくれるまではこないと言われたのに
呼ぶまでは来るなと言ったのに
俺はそんなにできない奴なの？
俺は、そんなに、
頼りない奴なの？
『ぁあ゛あ゛あ゛あ゛あああああ！！！』
念力を使い狂骨の体を握りつぶし、羽根にいまだについている狂骨を振り払いながら穴蔵への道へと戻っていった。
旦那様がいない、
そばにいない、死んだ？
死んだのか？
俺をおいて、1人で寂しく死んだのか？
あの言葉は嘘だったのか？
1人で寂しく、背負って死ぬのか、死んだのか？
『サミシイ、
独りハ、サミ、しぃ。』
膨れ上がる莫大な妖気を前に数匹の狂骨はあちこちに飛び去っていった。
それを追いかけるように羽根を吹き飛ばすと狂骨の体を貫き砂となり消えていった。
それでも逃げ切ってしまった者もいるだろうが、追いかけることはしなかった。
たかが狂骨数匹投げ出したところで、できることはない。
きっとその辺の妖怪に喰われて終わりだ。
「 A や 」
声が聞こえた。
「 A 、無事か？ 」
俺が、守るって決めた、
「 A 怪我してるじゃろ、
酷いのぉ、痛むか？ 」
ボロボロと涙を流すと、皮膚の肉に沁みて痛む。
そんなことも気にせず子供のように走り出し、目の前にいるぐちゃぐちゃに変わり果ててしまった旦那様の体に抱きついた。
『うぅ、うわあぁあああん！！
旦那、旦那様だぁ！旦那様、旦那様！』
ゲゲ郎「帰ってくると、いったろ？
…それに、稚児を抱きしめてやらんとな」
『ぐすっ、うっ、うん、はい！
俺、俺！あ、水木様と奥様は』
千里眼を使い、2人を見ると奥様は鴉天狗を呼んだのか空の上、水木は人に救われていた。
2人とも生きている。
『生きています、よかった…
でも俺ちょっと…妖気が…もうあまり無くて、』
急に意識が覚醒したからなのか、それとも穴蔵に入ったからなのかわからないが、一気に妖気がなくなっているのに気づき、その場に倒れてしまった。
地面に落ちる。その瞬間にゲゲ郎の腕に抱きしめられ、そのまま横抱きにされ忌まわしい村から出ていった。
痛むだろうに、そんなことも気にせずに平然と助けてくれるその姿に、
やっぱり、敵わない。そう思いながら目を瞑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 179人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わーい - ひあのさん» 返信遅くなり誠に申し訳ありません。ありがとうございます！早く完結できるよう頑張ります！ (12月13日 8時) (
レス) id: caa96760da (このIDを非表示/違反報告)
ひあの(プロフ) - めっちゃめっちゃ面白いです！！更新楽しみにしています！！！！ (12月8日 7時) (レス) @page4 id: 426f9a3d0f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わーい | 作成日時：2023年12月7日 8時
