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とある話 25 ページ27

『この状態で、俺は奥様と水木様を守れません。
正直に言います、守れる自信がありません。
きっと、俺は暴走しちゃうから。
妖気がずっと昂ってるんです。叫んでも泣いても、落ち着くことはなかった。
だから、逃げてください。狂骨からじゃない、俺から』

水木の心臓に手を置くと、じんわりと温かくなった。
まるでそれは熱々の味噌汁を飲んだ時にどこを今通って今ここに溜まっている。と言わんばかりの感覚に体を捩った。

岩子「A…、駄目、よ」

『…奥様、』

岩子「離れちゃ…、だめ…、
あなた、1人に…、」

伸ばされた手を握ると、岩子は腫れている瞳から涙を流した。

『…私めは、旦那様の命に従っているだけでございます。
1人ではありません。私めの心の中には、奥様と旦那様、そして水木様がおります。
決して、1人ではございません。
…奥様、私めの命に変えても貴方様をお守りします。』

強風が吹き荒れると水木と岩子は浮かび上がった。

水木「話しがちげぇよ!!」

『私めがいる間は傷一つつかせない。
着地もする、そしたら走って逃げろ。


水木様。奥様を、頼みました』

慈愛の籠った瞳で水木を見つめると、バリアが張られていたのか、バリンと音と共にAの姿は狂骨に押しつぶされてしまっていた。

ドーム状に狂骨は重なっていた。

水木「Aー!!!」

地面に着地すると、後ろを気にせずに前に前に走った。
あいつがここで死ぬわけない。

こんなところで、こんなクソみたいな村で。


水木「戻ってこいよ!!A!!」


流れ落ちそうになる涙を顔を上げ叫び誤魔化そうとした。
それでも垂れ落ちた涙は岩子の顔を濡らした。

その声が届いたのか、わからないが後ろからぞわっ、と鳥肌が立つ感覚がした。

振り向くのも怖く、村の出口へと向かっていった。


『……ワタ、くし…めが、
お、オマモリスルとぉお゛お゛あ゛あ゛あ゛あ゛』

動かなかった左翼が鋭く羽根を尖らせ狂骨の体を貫いていた。ざわざわと木々が揺れ始め、ぬるい風が強く吹き荒れ始めた。

『だん、ナさ…
ダン゛ナ゛さま゛ぁ゛ああああ゛あ゛!!』

両手で自身の顔を掴み引きちぎるとじわりと血が流れ落ち始めた。

『おまもり、オマモリスル…オマモリ、マモリ、

マモル、マモッテ、俺ガ、マモル、』


そう、昔、
幽霊族とは知らずに旦那様に喧嘩を売りボコボコにされて家に帰ったら父親からも怒られて謝罪した日を思い出した
まるでそれは昨日のことのようだった。

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わーい - ひあのさん» 返信遅くなり誠に申し訳ありません。ありがとうございます!早く完結できるよう頑張ります! (12月13日 8時) (レス) id: caa96760da (このIDを非表示/違反報告)
ひあの(プロフ) - めっちゃめっちゃ面白いです!!更新楽しみにしています!!!! (12月8日 7時) (レス) @page4 id: 426f9a3d0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わーい | 作成日時:2023年12月7日 8時

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