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とある話 17 ページ19

『……』

水木「待たせたな。まだ話すか?」

『いえ、もう…大丈夫です』

振り向き水木の首に手をかけると内出血が起きていた首は何事もなかったかのように綺麗になっていた。

水木「…ありがと」

『…これしか、できませんから』

水木「あのさ、聞こえちゃったんだけどさ。」

『…?』

水木「…まぁ、したいなら、すればいい。
お前の事だ、やるのにやらないのは、本当はしたくないから。今こうやってゲゲ郎に話したってことは、
止めて欲しいんだろ?」

出会った時はキラキラと輝いていたAの瞳は、今では薄暗く虚な瞳を持っていた。
この村に来てから沢山の嫌いになるものを見てきたからだろう。

水木「…お前の中にいるお前が、本当はしたくないから。
俺が足枷になってやるよ。だから」

『黙ってろ、人間風情が…!』

どろりと、人型の術が溶け落ちた。
今まで我慢していたものが今ここで出てしまった。


『俺は、奥様と旦那様さえ生きておればなんでもいい
奥様が人間に連れ去られたからここまできた
人間がどうなろうが、俺にはもう知ったこっちゃねぇ!』

ゲゲ郎「A!!」

水木「だから、やってみろって言ってるんだ
お前には、できないだろ?
本当は、大好きなくせに」

『黙れ!!』

人の手から鋭い爪が出ると水木目がけ振り下ろそうとしたが体が固まり、動けなくなった。

ゲゲ郎「A、やめるんじゃ、わしの、わしの友じゃ…
わしの唯一の友なんじゃ!!」

前に一歩、踏み込むが爪が振り下ろされて水木の体を引き裂く事はなかった。

水木「…ごめんな、俺ら人間のせいで
ごめんな、大事な人を取っちゃって
ごめんな。その代わり俺も取り戻すの手伝うから」

爪に怯む事なく、水木は目の前の男の体に抱きつき子供をあやすように背中を叩き始めた。

『ぁ、あ…、うそ、だ』

水木「ほんとさ、足枷にもなるし、お前が暴れそうになったら俺が力づくで止めてやるよ。
まあ、止められるほどの力があればの話だけどな」

『…そんなこと言っても、忘れるくせに』

水木「忘れねぇよ!人類存亡の危機だぜ?
そんな大事なこと、忘れるわけねぇよ」

『結局は人間のためじゃないか』

水木の体を離そうと水木の体に触れた瞬間、これでもか。と言うほどの力で抱きしめられた。

水木「人間のためじゃねえ!
お前のためだ!
俺が忘れるわけねぇけど、もし忘れちまってたら俺を思い出せ!
お前が殺す人間の中に俺もいるんだ!」

『……、じゃあ、約束してくれ』

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わーい - ひあのさん» 返信遅くなり誠に申し訳ありません。ありがとうございます!早く完結できるよう頑張ります! (12月13日 8時) (レス) id: caa96760da (このIDを非表示/違反報告)
ひあの(プロフ) - めっちゃめっちゃ面白いです!!更新楽しみにしています!!!! (12月8日 7時) (レス) @page4 id: 426f9a3d0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わーい | 作成日時:2023年12月7日 8時

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