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とある話 9 ページ11

『旦那様』

ゲゲ郎「ん?話は終わったのか。」

肩まで湯に浸かり気持ちよさそうに鴉天狗特製の酒をお猪口で飲んでいた。

『はい。お陰様で。』

鴉天狗「A様ーーー!!!!」

叫びながら飛んできた鴉天狗を捕まえるとその鴉天狗の体になにやら液体が付着していた。
ふとその鴉天狗の体を見るとボロボロだった。
翼もボロボロで、今すぐ治療しなければ一生飛べなくなってしまう。

『鴉天狗や!!おい!!治療係の鴉天狗を呼べ!!』

鴉天狗「A様、旦那様、は、き、聞いて、聞いてくだされ、奥様、奥様の気配を、感じて、」

ゲゲ郎「なんじゃと?!
妻は、どこにいるんじゃ!!今まで、気配すら感じなかったんじゃ!」

傷だらけの鴉天狗の体を揺さぶりはやくはなしをききだそうとしていた。

『旦那様!鴉天狗は傷を負ってあります、下手したら一生飛べなくなります』

その瞬間、ゲゲ郎の腕が止まった。
すぐに温泉から出ると着流しをいつものように着ると、組紐を腕に巻きつけると鴉天狗は治療を受けながら話し始めた。

要約すれば、哭倉村付近で妻と思われる気配を感じたとのこと。

鴉天狗の話を聞き終わるとすぐにゲゲ郎は出て行く準備をし始めた。酔い潰れた大天狗に何も伝えず、ゲゲ郎は鴉天狗を連れ岐阜県を出て行った。

そこから歩いて、歩いて、県を跨ぎ、電車に乗った。

旦那様は窓の外を見ていた。

止まった駅に乗ってきた顔に傷があり、たくさんの幽霊に取り憑かれている人間に出会った。
電車の中はたくさんの人が密封空間でタバコを吸い、子供の苦しそうな咳が聞こえてきた。


ゲゲ郎「お主、死相が出ておるぞ この先、地獄が待っておるぞ」

急にその男に話しかけた旦那様に驚きガタッ、と背もたれに体重をかけ動かしてしまった。
が、その男すら見えておらずバレずそのまま旦那様は話を進めた。
その男が持っていたマッチが待っている部分まで火がいくとその男は床にマッチ棒を投げ捨て火を消した。

その瞬間に旦那様は気配を消し何事もなかったかのように窓の外を見ていた。

人間嫌いで有名なあの旦那様が人に話しかけて注意喚起するなんて、どんな風の吹き回しか。

びっくりして数分そのままの体勢で居た。
ガタン、と電車が揺れ意識が戻ってきた。

『…旦那様、』

ゲゲ郎「ただの、気晴らしじゃ」

『…奥様の、お陰ですね』

その男の方を向くと、その男を囲むように軍服の男達が並んで立っていた。

その姿はまるでこの先に行かせないように。

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わーい - ひあのさん» 返信遅くなり誠に申し訳ありません。ありがとうございます!早く完結できるよう頑張ります! (12月13日 8時) (レス) id: caa96760da (このIDを非表示/違反報告)
ひあの(プロフ) - めっちゃめっちゃ面白いです!!更新楽しみにしています!!!! (12月8日 7時) (レス) @page4 id: 426f9a3d0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わーい | 作成日時:2023年12月7日 8時

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