・ ページ9
♪
突然、目の前に現れたのは
小学校時代に習い事先で親しくなった爆豪勝己くんだった
彼は負けず嫌いらしく、
コンクールで毎回優秀賞をとる私は
何度か宣戦布告をされたことがある
けど、私は彼からの宣戦布告を一度も引き受けることなく
小学校で音楽クラブの活動を始め、忙しくて音楽教室をやめてしまった
その4年後
立ち寄った本屋で彼と再会した
けどその時にはもう
私の耳はほとんど聞こえていなかった
彼の口の動きを読み取りながら
不自然と思われないように会話をするのに精一杯で
どんな話をしたのか生憎覚えていない
声も、少し低くなってかっこよくなっているんだろうと想像すると
気になって、聞きたくて眠れなかった
《“話しかけても無駄だよ。聞こえないから”》
彼は私の手話に呆然とした
《“嬉しそうにしないで。私は嬉しくないよ”》
「＿＿＿＿＿＿」
首を傾げられるのは仕方ないことだ
《“…2年前、聴覚の病気が発覚した。あの時はもうほとんど聞こえてなくて、口の動きでかっちゃんが話してることを全部把握してたの。……音楽もできなくなった”》
「…＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿」
何かを閃いた彼は自身の制服のポケットあさった
まるで私と話せないことをわかっていないかのように
私が説明をしたって無駄だった
わかりっこないんだよ、かっちゃん
《“わかんないでしょ？！通じないのに、話さないでよ。声かけないでよ”》
「……“わかんねぇよ”＿＿＿＿＿＿＿」
口の動きでわかってしまった
彼は今、 分からない と言った
聞こえない私に聞こえるように
息を大きく吸って声を出しているように見えた
《“やめて！今、大きな声出してるんでしょ？見てて嫌になるの。腹立つの。……うるさいんだよ！”》
悔しくなるから見ていられない
普通に戻りたい
普通の人を見れば見るほどその気持ちは大きくなっていく
彼みたいに
声を出して、声を聞いてお話がしたい
それと
音楽を聞きたい、演奏したい
……何もかもから、目を背けたくなる
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1344人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みんちょ - 更新されてる！！待ってました！最高です！がんばってください！ (2月17日 21時) (
レス) @page20 id: 15c3edd684 (このIDを非表示/違反報告)
ポウ(プロフ) - 面白いです。続きが楽しみです。 (11月20日 17時) (レス) id: 4b00597d9c (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです❗更新頑張って下さい。 (5月19日 18時) (レス) id: 225623cf6e (このIDを非表示/違反報告)
みんちょ - 続きみたいです！！ゆっくりでいいので待ってます！！ (5月18日 22時) (レス) @page18 id: 15c3edd684 (このIDを非表示/違反報告)
りばり(プロフ) - 暇鬱(Itosaka) #(男として活動してるけど)一応僕っ子系女子(？)さん» プリンの手話は覚えやすくて可愛らしいですよね (2023年4月17日 16時) (レス) id: 26b6b81ea3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りばり | 作成日時：2022年11月23日 15時
