目覚め ページ7
「……泣かないでよ。せっかく、きれいな顔をしているんだから」
わたしがそう言って手を伸ばし、親指で悠一君の涙を拭ってやると、悠一君は「うん、うん、……」と頷きながらも泣くのをやめなかった。参ったな。泣かせたかったわけじゃないんだけど。
目が覚めたのは久しぶりなんだけど(悠一君がずいぶん大きく成長したことから読み取れる)、不思議と身体が重たくなった感じもしないし、簡単に起き上がることもできた。筋肉は衰えていないようだ。
筋肉が衰えていない、というよりむしろ、動きやすくなっているような……。
「悠一君、ほら、泣き止んで。わたしは長いこと眠っていたみたいだし、いろいろ説明してもらわないと……」
「うん……、やっぱ五分だけ待って」
悠一君はぎゅうとわたしを抱きしめて、顔をわたしの肩に埋めた。あーあー、これは本格的に泣きだすぞ。わたしは少しだけ苦く笑ったけれど、それだけ心配をかけたのだからと納得し、悠一君の背に腕を回した。それから時折聞こえる嗚咽に合わせて、ぽんぽんと優しく背を叩いてやる。
本当に、大きくなったなあ。回した腕がぎりぎりで届いているというくらい、背中も広くなったし身長も伸びた。顔もあどけなさは残りつつも幼さは消えて、わたしと同年代くらいにはなったのかな。
きっちり五分。悠一君は宣言通り五分で泣き止み、わたしを放した。
「……ごめん。情けないとこ見せた」
「構わないよ。君が変わっていなくてうれしい」
「変わっててほしかったかな、そこは……男として……」
頬を掻きながら照れくさそうに笑った悠一君。もし彼がヤンキーに成り果てていたとしたら、わたしは卒倒して二度と目を覚ますことはなかったろう。
悠一君は、ゆっくりぽつぽつと説明を始めてくれた。
「あれから、六年経ったんだ。最初の二年は、Aさんもいたときと同じようなことをしてた。変わったことは子どものボーダー隊員が増えたことくらいかな……」
「……子どもが？」
「Aさんは断固反対してたけど、やっぱり子どものほうがトリオン能力が優秀なんだ。まあいろいろ端折るけど、提携してた三国が滅びて、四年前にネイバーが三門市に侵攻してきた事件が起きた。今は大規模侵攻って呼んでる」
その大規模侵攻でボーダーは公の組織になり、今では大きな防衛機関になった。今は元ボーダー本部が玉狛支部と名乗り、悠一君も桐絵ちゃんもレイジ君も、そこに所属している。
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ペネロッペ(プロフ) - 神作品だ…神でしかない……応援させていただきます！！！ (2022年9月24日 9時) (
レス) id: 6ccf1f8e55 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 月さん» はい、頑張ります！ありがとうございます。 (2022年9月5日 8時) (レス) id: 2e7389805a (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - しらないさん» コメントありがとうございます。お待たせしてしまい申し訳ありません。今後も頑張っていきますのでお待ちいただけると嬉しいです！ (2022年9月5日 8時) (レス) id: 2e7389805a (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - フラッペ??さん» そこまで言っていただけて光栄の極みです……。ありがとうございます✨ (2022年9月5日 8時) (レス) id: 2e7389805a (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 雲雀さん» ありがとうございます！ゆっくりにはなりますが更新しますのでよろしくお願いします。 (2022年9月5日 8時) (レス) id: 2e7389805a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2021年9月20日 15時
