ヒーローと妖精 ページ3
メガネ君の未来を見たとき、そして遊真と会ったとき。確かに、彼女が起きる未来が視えたんだ。
もちろん小南や木崎には言っていない。無駄に喜ばせて、もしその未来通りにならなかったら……その落胆を考えれば当然の判断だろう。そんなものを味わうのは迅だけでいい。
「迅さんはコーチやらないの？」
「ん？ おれ？ おれは今回は抜けさせてもらうよ。いろいろやることがあるからな」
そわそわしてないだろうか、と迅は少し不安に思った。迅はあまり感情が表に出る方ではないが、今回ばかりは誰にでもわかるくらい落ち着いていない気がして、迅はちょっとだけ背筋を伸ばす。
さて、これで三雲、空閑、雨取の新人三人それぞれに烏丸、小南、木崎が師匠としてついた。あとは師匠たちに任せて、迅は自分のやることに専念できる。迅はいつもやることがいっぱいで大忙しだが、特に三日後には大きな案件がある。まずはそれに備えなくては……。
と、その前に。
「遊真、ちょっといいか？」
「む、迅さん。いいよ。いいよな、オサム、チカ？」
「いや、ぼくたちは……」
「ちょうどいい、メガネ君たちにも紹介するよ。うちの一番の古株隊員」
「うちの一番の古株隊員」と言うと、新人三人以外はみんなわかったようだった。小南は少し落ち込んだような顔をしたあと、またソファにふんぞり返って「そうね、そうするといいわ」と偉そうに言った。
木崎はやれやれと首を振り、「ついでに掃除も頼むぞ、迅」と言って部屋から出て行ってしまった。烏丸と宇佐美は直接の関わりがないため、いつもこの話題には触れづらそうにしている。あまり気を遣わなくていいと言っているけれど、そういう問題ではないらしい。
遊真は古株隊員と聞いて「ほほう」と顎に手を当てる。迅はそこで、遊真の父のことを思い出した。『空閑有吾』のことを彼女から聞いたことはないが、もしかしたら知り合いかもしれないな。
迅は三人を連れて玉狛支部の二階に下がり、廊下の突き当りの部屋へと歩く。二階では一番日の当たる部屋だ。ドアをゆっくり静かに開けて、三人を中へと招く。
「……この人は……」
「今給黎Aさん。おれと小南とレイジさんの大先輩なんだ」
「迅さんたちの……！」
部屋の中央には大きなベッドが一台置いてある。それ以外は特に何も置いていない、実に簡素な部屋である。
ベッドには一人の女性が寝ていて、迅は彼女に寄り添うようにベッドに腰かけた。
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 335人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ペネロッペ(プロフ) - 神作品だ…神でしかない……応援させていただきます！！！ (2022年9月24日 9時) (
レス) id: 6ccf1f8e55 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 月さん» はい、頑張ります！ありがとうございます。 (2022年9月5日 8時) (レス) id: 2e7389805a (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - しらないさん» コメントありがとうございます。お待たせしてしまい申し訳ありません。今後も頑張っていきますのでお待ちいただけると嬉しいです！ (2022年9月5日 8時) (レス) id: 2e7389805a (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - フラッペ??さん» そこまで言っていただけて光栄の極みです……。ありがとうございます✨ (2022年9月5日 8時) (レス) id: 2e7389805a (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 雲雀さん» ありがとうございます！ゆっくりにはなりますが更新しますのでよろしくお願いします。 (2022年9月5日 8時) (レス) id: 2e7389805a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ノア | 作成日時：2021年9月20日 15時
