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結論から言うと、迅は負けた。当然である。一般人が急に武器を持たされて訓練された兵士と戦えと言われても到底無理な話である。迅が知ることではないが、小南は訓練された兵士の中でも特別に強かった。
開き直ったAにさまざま指南を受けたが、迅はほとんど生かせないまま敗北した。
「……おれ、なんで生きてんの？」
「言ったよ、『絶対死なない』って」
「うん、それは聞いたけど、首飛ばされたんだよおれ」
首に刃が当てられたときの恐怖が続いていて、迅は軽い声とは裏腹に顔は真っ青だった。生まれて初めて本気で『死ぬ』と思ったのだから当然である。そして実際に迅は死んだ。
「詳しくは説明できないけど、体験した通り絶対に死なないから大丈夫。もし気分が悪いなら休もう」
「……いや、まだやれるよ」
「すぐに慣れるでしょ。何度でも首飛ばしてやるから」
「それはどうかな？ なんとなく感覚は掴んだよ。次死ぬのは小南の方だ」
いーっと歯を剥く小南を迅が挑発すると、小南は不快だと言わんばかりに迅を冷たく見下ろした。「あっそう、せいぜい負け惜しんでるといいわ」とブレードを構えなおし、迅に切っ先を向ける。
迅も同じように刃を小南に向け、姿勢を低くする。迅は複数の負ける未来の中に、たった一つだけ勝つ未来があることに気がついている。
迅には天性のセンスがあった。何度も何度も首を切られるうちに、それはめきめきと頭角を現し始めた。Aが迅の鋭い動きに目を見張る中、迅は急速に成長を遂げていた。
そして、今。
数十回にも及ぶ負けを通り、迅はたった一回の勝利を修めた。
「……あ、たしの……負け……」
「……おれの、勝ちだね、……」
首元に突き立てられた刃を呆然と見て、小南がつぶやく。Aは「信じられない」と囁いた。
油断していたとはいえ歴戦の小南を追い詰め、それどころか勝利まで修めた迅が、武器を持ってたったの数十分だとは考えられなかった。
「今のは…………どういうことだ、今給黎」
Aの半歩後ろに、数人の男が立っていた。いつものAなら気配に気がつくのに、今の今までそれがなかったのは意識が全部迅にいっていたからだった。
Aはびくりと肩を跳ねさせ、強張った笑みを男らに向ける。「連絡は入れましたが……」というAの主張が蹴られそうになったとき、煙草を咥えた男が片手を挙げた。「わりぃ、メール来てたわ」と。
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ノア(プロフ) - Noahさん» あいしてます (2021年9月21日 17時) (
レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 金の帳さん» ありがとうございます。迅さんカッコいいですよね！ 続編もよろしくお願いします。 (2021年9月21日 17時) (レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - すきです (2021年3月20日 2時) (レス) id: 3eb26abe40 (このIDを非表示/違反報告)
金の帳 - めっちゃおもしろいです！迅さんはやっぱりかっこいいですね！更新楽しみにしてます！ (2021年2月8日 23時) (レス) id: 1e8abd378d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2021年2月7日 10時
