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「なあ、お前はなんでここにいるんだ？」
「お前って何よ。あたしは小南桐絵、お前なんて名前じゃないわ」
「じゃあ小南。ここは何をするところなんだ？」
迅が興味津々で尋ねると、小南は目を吊り上がらせた。「あんた、そんなことも知らずに来たワケ？」とさも呆れたように肩を竦められる。そんなことを言われても、Aから何も説明を聞いていないのだから仕方がない。
小南は偉そうにため息を吐くと、「じゃ教えたげる」と腕を組んだ。
「ここはボーダーの本部。あたしもAさんも、ボーダーの一員なの」
「その、ボーダーってのは？」
「それは……ご、ごくひだから言わない。あたしはアンタを信用してないし」
「えー。そこを何とか、頼むよ小南。おれはAさんから何も聞いていないんだ」
「ならなおさら言えないわ。だってAさんが言いたくないってことでしょ」
小南はつんとそっぽを向く。迅はこれ以上は何も望めないと判断した。
そこで、ティーカップとレモンを持ってAが戻ってきた。小南は立ち上がってAに駆け寄り、ティーカップを二つ受け取る。それを机に並べて、得意げにAを見た。褒めてほしいのだろう。
Aは小南の頭を撫で、「ありがとう」と労わる。小南は満足してソファに戻った。Aがキッチンに入り、洗ったレモンを輪切りにしながら口を開く。
「……悪く思わないでね、悠一君。知ってしまえば君が戻れなくなってしまうから言わないんだ」
「……戻れなくなる？」
「うん。だからわたしは、こうやって君にお茶を出してもてなしはするけど、わたしたちのことは教えない」
「そういうことよ。残念だったわね！」
ここに来ての仲間外れに、迅は少なからずいい思いはしなかった。拗ねつつ、出された紅茶に口をつける。レモンの酸味が口を刺激した。
マドレーヌを頬張り、もくもくとオレンジピールを堪能していると、Aは「にしても」と呆れ顔で小南を見やった。小南はぎくりと肩を震わせ、ぎこちない笑みで「何よ？」と訊く。
「桐絵ちゃん。悠一君は君より年上なんだ。年上は誰だろうと敬わなくちゃいけないよ」
「うっ……、でも、ここに入ったのはあたしの方が先だから、あたしが先輩よね？」
「先輩なら先輩で後輩には優しくしなきゃ。……もっとも、悠一君は後輩にならないんだけど」
憂うように息を吐き、Aはちらりと迅を流し見る。迅は急に目が合ってどきりと跳ね上がった。
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ノア(プロフ) - Noahさん» あいしてます (2021年9月21日 17時) (
レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 金の帳さん» ありがとうございます。迅さんカッコいいですよね！ 続編もよろしくお願いします。 (2021年9月21日 17時) (レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - すきです (2021年3月20日 2時) (レス) id: 3eb26abe40 (このIDを非表示/違反報告)
金の帳 - めっちゃおもしろいです！迅さんはやっぱりかっこいいですね！更新楽しみにしてます！ (2021年2月8日 23時) (レス) id: 1e8abd378d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2021年2月7日 10時
