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カタリナは夜に弱いらしく、ずっと前に眠りに就き、今もぐっすりと気持ちよさそうに眠っている。小南は慣れない環境で眠るのに苦戦していたが、ようやくうとうとしてきた。木崎は横になったままピクリとも動かない。起きているのか定かではないが、目を瞑って体を休められるのであればそれで充分だろう。
残るは迅とAだけだ。迅は先ほどから寝ようと試みているのだが、小南と同じく慣れない環境下で眠るのに苦労している。さらに隣からはかすかに電子機器の光が届くので、ちらちらと瞼の裏が気になってしょうがない。
Aはやや時間が経ってから反応した。
「……ああ、ごめん。気になって眠れないか」
「うん、でもだいじょうぶ。Aさんは、寝ないの？」
「もうちょっと起きてる。レポートが残っていてね、ここはインターネットには繋がらないがパソコン自体は問題なく使えるらしい」
「ふうん……」
迅は疲労が溜まって回らなくなっている舌を懸命に動かした。しか喋りは遅く、呂律が回らない。露骨に眠たげにしている迅を、Aは愛おしそうに見つめた。
「眠れないなら、歌でも歌ってあげようか。これでも得意な方なんだ」
「小南たち、起きちゃうでしょ」
「それじゃ何か飲み物とか。ホットミルクは？」
「持ってきてないでしょ」
「うーん」
どうにかして迅を寝かしつけようとAが策を練るが、それらは実際にはできそうもないものばかり。彼女はきっと、今自分が艇の中にいるということを忘れているに違いないと迅は結論づけて、おかしくて笑った。
しかしA本人は困ったような顔をしている。「参ったな、策が尽きた」と眉を寄せて、うーんうーんと唸る。迅はもう子どもじゃないんだからそんな必要もないのにと不服に思うも、せっかくなので甘えてみることにした。
「……寝るまで、手、握っててくれない？」
「！ ……、もちろん。なんなら添い寝してあげるよ」
「いらないです」
冗談っぽく提案したAに即答すると、今度は本気っぽく「残念」と呟かれた。添い寝は本気だったのか冗談だったのか……わからぬままに右手に温もりが伝わる。
「おやすみ」と優しく微笑まれ、迅は強烈な眠気に襲われた。突然のことである。それまでも眠気を感じてはいたのだが、それでも眠れぬ状態だった。しかし今は、気を抜けば眠ってしまいそうな状態にある。
迅はゆっくりと閉じていく瞼の隙間に、どうしようもなく愛おしいひとの顔を見た。
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ノア(プロフ) - Noahさん» あいしてます (2021年9月21日 17時) (
レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 金の帳さん» ありがとうございます。迅さんカッコいいですよね！ 続編もよろしくお願いします。 (2021年9月21日 17時) (レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - すきです (2021年3月20日 2時) (レス) id: 3eb26abe40 (このIDを非表示/違反報告)
金の帳 - めっちゃおもしろいです！迅さんはやっぱりかっこいいですね！更新楽しみにしてます！ (2021年2月8日 23時) (レス) id: 1e8abd378d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2021年2月7日 10時
