近界民の彼女 ページ25
しばらくが経った。その間に変わったことと言えば、木崎レイジという迅より二つ年上の男がボーダーに入ったことと、迅がますます強くなって小南に勝つ本数が増えたことくらいだ。
それと同時に、迅はAにほとんど全勝できるようになった。Aは小南よりも弱く、正直迅にプレッシャーを与える存在とは言えなかった。ボーダーに入りたてのころはそれこそ勝てもしなかったが、今ではもう迅の方が実力は上である。
しかし、迅がAと戦い終え、Aに褒められて上機嫌になっていると、誰かしらがやって来て言うのだ。
「頭に乗るな。Aの恐ろしさはもっと別なところにある」
そう、ちょうどこんな具合に。
それは最上であったり忍田であったり林藤であったり、そのときどきで変わるのだが、今日はその中の誰でもなかった。全く知らない、聞き覚えもない声である。
迅が驚き振り返ると、そこには日本人離れした容姿の不思議な女性がおり、不機嫌そうに迅を見下ろしていた。まるで汚らわしいものでも見るような目つきである。迅は戦慄した。
「このクソガキ……。たかが模擬戦で勝てるからと鼻にかけやがって。実戦に出たこともないくせに」
「…………あんた、誰だ？」
「お前こそ誰だ。新入りが入ったなんて聞いてないな」
「ボーダーの人？ Aさんのともだち？」
「違う。あっいや、違わない！！」
迅の問いに堂々と「違う」と答えた女性は、すぐさま不機嫌な顔を崩して慌てて「違わない」と言い直した。しかし、ううんと考え込んでは、「違うけど、違わない……子どもにはどう伝えれば良いものか」と悩みだした。
……この人、高圧的だけどなんか可愛い感じの人だ。迅は思った。
迅がぼうっと女性が悩む様子を見つめていると、そのうしろからヒョコっとAが顔を出した。
「ふーん。わたしたちは友人ではなかったのかー、そーかそーか」
「なっ、A？！ 違うんだ、否定したのはボーダーの人間ということだけで……！ お前は唯一の友だちだ！」
「あははっ、少しからかっただけだよ。わるいね、カティ」
「からかったぁ？！ ひどいぞ！」
なおも笑いながら、Aはソファに腰かけた。カティと呼ばれた女性もぶつくさと文句を言いつつその向かい側に腰かける。どうすればいいのかわからない迅に、Aは自らの隣を叩いて座るように進める。迅はそれに従った。
その際の妬むようなカティの視線には気づかないふりをした。
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ノア(プロフ) - Noahさん» あいしてます (2021年9月21日 17時) (
レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 金の帳さん» ありがとうございます。迅さんカッコいいですよね！ 続編もよろしくお願いします。 (2021年9月21日 17時) (レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - すきです (2021年3月20日 2時) (レス) id: 3eb26abe40 (このIDを非表示/違反報告)
金の帳 - めっちゃおもしろいです！迅さんはやっぱりかっこいいですね！更新楽しみにしてます！ (2021年2月8日 23時) (レス) id: 1e8abd378d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2021年2月7日 10時
