ブルーアゲート ページ16
「派手にやられたねえ、悠一君」
「……見てたんだ、Aさん。恥ずかしいから、おれとしては見ないでほしいんだけど」
「そう落ち込むな。小南も最上さんも、ボーダーじゃトップだから。悠一君じゃなくても負けるよ」
「Aさんも負ける？」
「うん、
つまり団体でだったら勝てるんだ、と迅は心の中でツッコんだ。
迅がボーダーに入ってからしばらくが経った。迅は毎日学校帰りに川の真ん中に建つ本部に寄り、小南や師匠である最上と戦ったり教えを請うたりして、着々と実力をつけている。
しかし小南も最上も強く、それは強く、迅は未だに一勝もできていない。小南に勝てたのは初めてここに来たときの一回だけだ。なかなか良い動きはしているものの、やはり小南の方が何手も上である。迅は今日も大敗を喫していた。
よくわからない、しかも危険かもしれない組織に入るにあたり、子どもの迅は保護者との衝突は避けられないと思っていたのだが、そこを何とかしたのがAである。Aはいつの間にか迅の母親にそれとなく接触し、親しくなり、そして信頼を勝ち得ていたのである。迅がボーダーの一員になれたのはAによるものが大きかった。
そんなAに迅は大いに感謝し、師事を乞うたが、Aは「わたしは戦闘のタイプが特殊だしもっと適任がいる」として断り、代わりに最上を紹介した。現在迅は最上を師匠とし、Aとはたまに斬り合うくらいの仲である。
「ていうかAさんは相手してくれないの？ 今日は暇なんだろ？」
「答えはどちらとも言えないな。一つだけ重要な用事がある。そろそろ出ないと間に合わない」
ニヤリと笑うA。現在の時刻は午後一時十五分。これからAが何をするのか、迅はなんとなく予想がつき苦笑した。
「また小南がワガママ言ったんだろ？ そんなの自分で行かせればいいのに」
「桐絵ちゃんは女の子だから」
「はぁ……、今日は何買って来いって？」
「隣町の『エウレカ』のフルーツタルト。有名らしいね」
自身の携帯端末でマップを呼び出しながら事も無げに言うAに、迅はげんなりと肩を落とした。
Aは「子どもが好きだ」と自分で言っていただけあり、迅や小南に恐ろしく甘い。小南はそれをわかった上でAを使っている節があるので、迅はそれに怒りを覚えているのだった。
Aは靴を履きながら迅に問う。
「行かないの？」
「………………行く」
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ノア(プロフ) - Noahさん» あいしてます (2021年9月21日 17時) (
レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 金の帳さん» ありがとうございます。迅さんカッコいいですよね！ 続編もよろしくお願いします。 (2021年9月21日 17時) (レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - すきです (2021年3月20日 2時) (レス) id: 3eb26abe40 (このIDを非表示/違反報告)
金の帳 - めっちゃおもしろいです！迅さんはやっぱりかっこいいですね！更新楽しみにしてます！ (2021年2月8日 23時) (レス) id: 1e8abd378d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2021年2月7日 10時
