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迅はまた、首を傾げた。
「おれはまだガキだから『利用』だとか全然わからないけど……、それならAさんが責任感じる必要ないんじゃないの？」
「……さあね」
「狙い通りにおれはボーダーに入りたいって言い出したし、まあともだちになったわけじゃないけど小南とおれを引き合わせることにも成功した。未来視をどれだけ信じてるかは知らないけど、これだけでもおれを巻き込めて万々歳だね」
迅は大袈裟に両手を上げてみせる。Aは探るような目つきで迅を見て、それからニッと口角を上げた。
「わたしは臆病だからね。君が死んだらと思うと、罪悪感に潰されて死んでしまいそう」とお道化たように言われたが、迅にはそのとき未来が一つ視えていた。ひどくあたたかい未来だ。
「言ったでしょ、『全部視えてた』って。おれ、Aさんの目的ちゃんとわかってるよ」
「……？」
「ねえAさん。"最上さん"って誰？」
迅はにやりと笑ってAを見た。Aは明らかに動揺している。「悠一君、イイ性格してるよね」と軽く睨まれ言われた言葉に「それほどでも」と頭を掻きながら返すと、「褒めてないし」と呆れられた。
Aは深く息を吐いて、髪をぐしゃぐしゃと乱した。「あーもう、……」と苛立ちの含まれたつぶやきに、迅はこっそりほくそ笑む。上手くいった。
もう一度深く息を吐いた彼女は、上着のポケットから煙草を取り出し、咥えて火をつけた。ニコチンを補給しつつ地面を眺めていた彼女は、しばらくしてから顔を上げた。
「最上さんは、たぶんボーダーで一番SEに詳しいんだ。親友の空閑さんって人がSE持ちでね……。だから君のそれについて聞けると思って」
「それで？」
「……ほんと、イイ性格してるよ。あとは君、なんか死んじゃいそうだったから」
「……おれが？」
Aはそうと肯く。
「未来が視えるって苦労するんだろうなぁ、今までどんな苦しいこと視て生きてたんだろうなぁって思ったら、あーわたしだったら死ぬかもしれないって思った。それだけ」
「え、おれは死なないよ」
「そう思っただけだって。ただ、君が未来を変えようとして、そうするだけの力がなかったら自分を責めるだろう。そうなったらきっと君は死ぬよ」
「なんでそう言い切れるの」
「わたしならそうなるから」
迅の純粋な疑問に、Aはきっぱりと即答した。わたしならそうなるから。全く何の根拠もない話である。
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ノア(プロフ) - Noahさん» あいしてます (2021年9月21日 17時) (
レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 金の帳さん» ありがとうございます。迅さんカッコいいですよね！ 続編もよろしくお願いします。 (2021年9月21日 17時) (レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - すきです (2021年3月20日 2時) (レス) id: 3eb26abe40 (このIDを非表示/違反報告)
金の帳 - めっちゃおもしろいです！迅さんはやっぱりかっこいいですね！更新楽しみにしてます！ (2021年2月8日 23時) (レス) id: 1e8abd378d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2021年2月7日 10時
