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「…はぁ。目当てのものも貴女に食べられてしまいましたし、社に戻り仕事を再開することにします。」


彼女といるとため息ばかり出る。

否、彼女だけでなく、彼女と同類の私の上司といる時もため息は出るのだが…。


「おや、休憩時間はまだあるのでは?」


喫茶店に備え付けられている時計を見ながら首を傾げる鬼灯。

今日はよく首が傾くなぁと思う。


(…?というか、何故鬼灯が私の勤務時間の把握を…?)


そこを疑問に思ったところで、どうせ国木田様辺りの思考を読んだんだろうと考えた。


「…あ、今日の仕事は「虎探し」なんですよね?」


鞄を肩に下げ、席を立とうとした所でそう声をかけられる。


「…えぇ、そうですけれど。」


鬼灯は昔よく見せていた、薄気味悪い笑みを浮かべた。


「じゃあ、今日は何処かで会うかも知れませんね?」


財布からお金を出しながら私は溜息をつく。

今日で溜息は何回目だろうか。

もし溜息をつくと幸せが逃げるという話が本当であるならば、今頃私は強盗事件にでも巻き込まれる程不幸になっていただろう。


「…会いになんて来ないでくださいね。

貴女がいると、後々の仕事が面倒になるので。」


お金を机に置いて、出口へと足を向ける。


「会計、お願いしますよ。どうせまだここにいるんでしょう?」

「えぇ。承りました。お仕事、上手くいくといいですね。」


その声を聞いて足を進めようとしたところで、彼女に言うべき言葉があるのを思い出し、振り返る。


「私達が虎を見つけるのは夕方辺りになるでしょう。

…太宰様にはお気をつけを。 」


出口の方へ向き直る。そして今度はそのまま外へ出て、探偵社を目指した。




(ま、どうせ私が出た後、すぐに出るんでしょうけど。)


後に彼女が持ち込むであろう面倒事を思い、また溜息がでる。


尾行なんて、太宰様にはすぐにバレるでしょうけど、ね…

肆→←弍



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華の幽霊《sgsyu》(プロフ) - 淋さん» コメントありがとうございます。普ちゃんの文才は本当に素晴らしくて、私も参考にさせて貰っているところがいくつもあります。応援ありがとうございます。普ちゃんと共に頑張っていこうかと思います。 (2018年4月1日 20時) (レス) id: db4eb032b8 (このIDを非表示/違反報告)
- どうでもよいお話ですが或るボカロ曲を連想しました…それだけです(*´ `) (2018年4月1日 20時) (レス) id: 350a847f52 (このIDを非表示/違反報告)
- 初コメ失礼。とても善い作品ですね、読んでいて楽しく面白いです。普さんの作品経由で来たのですけど、やはり素晴らしい文才です。これからも頑張って下さい、応援します (2018年4月1日 20時) (レス) id: 350a847f52 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華の幽霊と普 | 作成日時:2018年3月31日 19時

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