壱 ページ3
「__人食い虎?大変ですねぇ。」
目の前にいる自分と同じ髪色をした彼女は、「こーひー」と呼ばれる黒い液体を机に置いた。
「本当ですよ。軍警も面倒な物ばかりコチラに押し付けてきます…。」
対する私も砂糖を大量に入れたこーひーを口に少し入れ、机に置いた。
現在はとある喫茶店で、お茶会議というものを目の前の彼女…【鬼灯朱音】と開いていた。
「ふふっ…。貴女の異能を使って捕まえればすぐに済むでしょうけれどね。」
にこりと読めない笑みを浮かべる鬼灯に聞こえるように大きくため息をつく。
「…もう既に試しましたよ。
…ただ捕まえるだけじゃ駄目そうなのが相手だっただけです。」
事前に頼んでおいた洋生菓子をナイフで1口サイズに切り分け、それを口に運ぶ。
鬼灯はこーひーが入った酒杯を持ちながら、驚いた顔を見せた。
「…へぇ。貴女の異能で解決出来ないものが存在するんですね。」
そういった後こーひーを飲み、そのまま私が切り分けた洋生菓子も攫っていく。
「…食べたいのなら自分で頼んでください。」
そう言って
もう1度彼女に聞こえるようにため息を付くけば、彼女は楽しそうに笑った。
「…私の異能は、人間の心まで戻せませんよ。
できるのは、その空間の時間を戻すことだけです。」
こーひーの中にまた砂糖を入れながら言うと、鬼灯は首を傾げた。
「…?
人食い「虎」では無かったのですか?」
砂糖を混ぜ終わったため、こーひーを口に含む。先程よりは甘くなったが、もう少し入れた方がいいだろう。
「えぇ、虎でしたよ。
虎の、異能力者でした。」
洋生菓子の上にある苺を食べながら答えると、鬼灯は嬉しそうに笑った。
「虎の異能力者…。
ふふ、当分は退屈せずにいられそうで嬉しいです。」
「…虎の正体が異能力者だと聞いて嬉しがるのは貴女だけでしょうね。」
そう言っても、鬼灯は嬉しそうに、期待したように…。
まるで、新しい玩具を買ってもらった子供のように笑うだけだった。
「はい、頂きですっ!」
「…あっ。」
彼女に気を取られているうちに、洋生菓子の最後の一口を取られてしまう。
「…本当に。食べるなら自分で頼んでくださいよ…。」
「うふふ。」
カラン、とこーひーに入った氷が擦れ、音を立てた
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華の幽霊《sgsyu》(プロフ) - 淋さん» コメントありがとうございます。普ちゃんの文才は本当に素晴らしくて、私も参考にさせて貰っているところがいくつもあります。応援ありがとうございます。普ちゃんと共に頑張っていこうかと思います。 (2018年4月1日 20時) (レス) id: db4eb032b8 (このIDを非表示/違反報告)
淋 - どうでもよいお話ですが或るボカロ曲を連想しました…それだけです(*´ `) (2018年4月1日 20時) (レス) id: 350a847f52 (このIDを非表示/違反報告)
淋 - 初コメ失礼。とても善い作品ですね、読んでいて楽しく面白いです。普さんの作品経由で来たのですけど、やはり素晴らしい文才です。これからも頑張って下さい、応援します (2018年4月1日 20時) (レス) id: 350a847f52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華の幽霊と普 | 作成日時:2018年3月31日 19時