百七十五歩 ページ47
何かあったら言えよって笑うカリム君に嫌そうな顔をするんじゃないよ、そこは有難うだろう。
…マジでカリム担みたくなってきたな、やめよ。
「…まぁ色々ありましたが、本当にお疲れ様でした」
「Aも、色々やってくれて有難うな!」
「いやいや、俺よりもジャミル君よ…メンバーなのにご飯作るのも手伝ってくれて、助かりました」
「カリムの事もあるからな、必然だよ」
「ふぅ〜イケメン〜ジャミ担になりそう」
「気持ちが悪い」
「さっき以上の全力の嫌悪感よ」
聞き取りやすくハッキリと言ってくれて有難う。
君のオクタアレルギーはきっと一生治らないんだろうね。
昨日程ではないにしろ賑やかなのには変わりない二日目の文化祭。
今日は見学の日という事で、ウツボに捕まる前に寮を出た。
サイエンス部のカフェでトレイ先輩の美味いケーキを食べた。
チーズケーキ、覚えててくれたみたいで頼む前に持って来てくれた。
スパダリはやっぱりスパダリだった。
一人で来たからか、色々説明しながら構ってくれた、マジ優男。
「A」
呼ばれて顔を上げると、ヴィル先輩が立っていた。
向かいの席の椅子を引いて促せば、礼を言って座ってくれた。
「ヴィル先輩、昨日はお疲れ様でした…足診てもらいました?」
「えぇ、捻挫だったわ…治癒魔法と魔法薬で暫くは様子見ね」
「そうですが…安静に過ごしてくださいね」
ここまで歩いて来た事はちょっと良くない気もしたが、言わないでおいた。
ルーク先輩がチラッと見えた気がしたから、連絡したんだろうと思って。
「…今回は色々と助かったわ、有難う」
「いえ、俺はただアズール君と…ルーク先輩の為に、働いた…筈、だったんだけどなぁ…」
「…アイツ、アンタの事凄く反省してたわよ」
「何で?」
「騙したようなもんだからじゃない?」
先輩の目が軽く俺の背後に飛んだ。
多分ルーク先輩が居るんだろうけど、気配ねぇんだよな怖。
「俺が勝手に唆されただけですからね、ルーク先輩は何もしてないでしょ」
「そうだとしても、アンタは軽音部の活動もあったのにそれでもサポートをやり抜いたじゃない…本当はちゃんと歌いたかったんでしょう?」
バレバレじゃん。
確かに俺は軽音部での活動は好きだし、歌うのも好きだ。
四人でバンドやるの結構好きなんだ。
カリム君はVDCのメンバーになっちゃうし俺も調理係になっちゃって、本来の軽音部とは少し違ったけど。
「でも俺は楽しかったし、軽音部での活動はまだ出来ますから」
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作者名:きない | 作成日時:2021年1月13日 18時