番外編:いずれ来る岐路なんて知らない。 ページ19
｢さぁ、友の元へ行くといい｣
｢…失礼します、よい誕生日を｣
｢あぁ、早く行ってやれ…ふふ、今にも噛み付いてきそうだな｣
振り返らずに真っ直ぐにフロイド君の所へ行った。
不機嫌を隠さない顔はまだ向こうを向いていた。
剣呑な目付き、不機嫌とは違う。
｢フロイド君｣
｢…ナマコちゃん、アレはダメ｣
｢何が？｣
｢ナマコちゃんは俺達と一緒にいるんでしょ？｣
フロイド君がやっと俺を見てくれた。
その目が疑うような色をしていた。
それは俺に？それとも先輩に？
何処で生きる、とはそういう事なのか。
全てを見透かしたような先輩の言葉に胸の奥が重くなる。
｢フロイド君、俺はオクタヴィネル生だよ…皆もそう、皆一緒にいるでしょ？ディアソムニアは関係ないよ｣
｢…ナマコちゃん、嘘でもここだけは選ばないで｣
｢俺はフロイド君と一緒にいるよ｣
狡い言葉だがこれしか言えなかった。
今の俺は彼等の側にいる事を選んでるけど、先の俺が何処にいる事を選ぶかはわからない。
フロイド君の手が伸びてきて、頬を撫でた。
｢…絶対だからね？｣
｢うん｣
｢イチャイチャしてる所悪いんですが、手伝ってもらえます？｣
｢フロイド、空いた皿を下げてきてください｣
｢はぁ？それってあっち行かなきゃじゃんヤダ｣
｢俺が行くよ｣
｢フロイド、Aさんが行ってくれますって｣
｢あー！！わかったよ行けばいいんだろっ！！｣
マジうぜぇ！！とジェイド君の肩を殴って、フロイド君はマレウス先輩達の方…え、大丈夫？
｢ふふ、大丈夫ですよ、さすがに喧嘩は売りま｣
ガチャーンと音がした。
セベク君の怒鳴り声とリリア先輩の笑い声が響く。
｢…ジェイド、回収してきなさい｣
｢畏まりした｣
｢大丈夫とは｣
フロイド君に殴られた肩を抑えながら笑顔で歩いていくジェイド君、目がマジだったよ。
こりゃ絞められるな。
むしろ絞られるな、美容液何本分だろう。
｢…全く、貴方が変な人に好かれるから｣
｢え…アズール君、俺の事好きだったの？｣
｢僕はマトモなので全く｣
｢酷いです…しくしく｣
｢そういう所ですよ｣
＊＊＊
マレウス様おめでとうございます。
最後はオクタの話でしたが…シリアスからのシリアス破壊、オクタのお家芸です(は？)
昔と今の話、褒美を尋ねた理由…マレウス様はナマコに何を望んでいるのでしょう？
友達になりたいのかな？(んな馬鹿な)
ちなみにトレイ先輩とジェイド君は苺攻防戦してただけです。
有難うございました。
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作者名：きない | 作成日時：2021年1月13日 18時
