番外編:いずれ来る岐路なんて知らない。 ページ13
周りを盗み見るとスゲェ息を潜めて皆見てんじゃん。
あいつ死んだな、って顔してる奴、死ぬから助けろ。
つかシルバー君達来ないの？
セベク君の声は何処から聞こえてんの？
｢…まぁ良い、直ぐに思い浮かばないなら時間をやろう｣
｢何故要求する側の俺が寛大な処置を頂いているのか｣
｢何か言ったか？｣
｢いえ何も｣
うっそりと笑うマレウス様…アレですね、魔王って感じ。
ゾッとしながらその笑みを見ていると、マレウス先輩が指を鳴らした。
手品かな？その指の間に封筒が挟まれていた。
｢この日までに欲しい物を考えて来い｣
｢…え？｣
渡された封筒を受け取るが、話が読めず狼狽える。
｢待っているぞ｣
そう言って席を立つと、リリア先輩が空になった食器を持って彼に続く。
去っていく彼等から、格好付けおって、とか、忘れておったじゃろ？とか、そんな言葉が聞こえんでもない。
それよりも、この封筒よ。
｢…1月18日にディアソムニア寮で、は？｣
何ですか、これは。
…つかセベク君の声マジでうるせぇ。
たまたまお会いしたルーク先輩(絶対一部始終見てたよね)に聞いた所、マレウス先輩の誕生日がその日らしい。
…ぇー…と、つまりこれは、あれか。
｢バースデーパーティーの招待状だね｣
｢おぅふ…やっぱりそうですか、ね｣
｢竜の君からの招待状なんて凄いね、君と彼が仲良かったなんて知らなかったよ｣
｢あー…仲が良いというか、昔お世話になった事があったというか｣
｢そうなのかい？それは興味深いね｣
好奇心旺盛なルーク先輩の目がキラキラしてる…やだぁ、美しい、やっぱり俺は召されるのか。
｢俺が迷子になって保護してもらったって恥ずかしい話ですよ｣
｢君は茨の谷の出身だったかい？｣
｢いやぁ…まぁ近くですけど｣
｢成程、幼い頃に助けてくれた恩人と時を経て再会…感動的だ！｣
｢いや、俺の昔の恥ずかしい話掘り返されてるだけなんですけどね｣
愉快そうに笑うルーク先輩にげっそり。
輝く笑顔だけど、この勢いは疲れるのよ。
｢誕生日ならプレゼントを用意しないといけないね｣
｢あー…確かに…どうしよう、何が良いですかね？｣
先輩ならマレウス先輩の好みも知ってそうじゃないですか、と言ったら、困った顔された。
さすがのハンターも妖精王のセキュリティの高さには手を焼いているそうで。
｢…あぁ、何度か彼がソルベを食べているのを見た事があるよ｣
｢ソルベかぁ…いっぱい用意されてそうですね｣
｢そうだろうね｣
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作者名：きない | 作成日時：2021年1月13日 18時
