（２７４）手当て ページ46
聖羅「何か手当てできるもの……」
空翼がカーゴパンツのポケットを探る。
引っ張り出したのは……意外にも薄ピンクのハンカチだった。
見るからに高価そうなそれは、バラの刺繍とブランドのロゴが端にあしらわれている。
円堂「ハンカチ？なんでお前がそんなもの」
聖羅「……、ガキの頃からの習慣が抜けねーんだよ」
空翼がぶっきらぼうに吐き捨てる。
それにしても、薄ピンクのハンカチ……。
なんか可愛いな。
円堂「へえぇ」
聖羅「なんだよ、うるせーな」
新鮮な事実に少し笑って顔を見ると、空翼は不機嫌そうにハンカチをポケットへ戻した。
聖羅「使えそうなモンがねぇな」
円堂「大丈夫。このくらい平気平気」
痛みを堪えて立ち上がろうとする。けど……
円堂「……っ」
聖羅「痛いのか？」
円堂「ちょっと……」
聖羅「…………」
空翼は指を口元に押し当てて考える仕草をした。
数秒でそれをやめ、オレの腕を掴んできた。
聖羅「来い」
円堂「……？」
半ば強引に立ち上げられたオレは、空翼に引き摺られるような形でキャラバンの屋根から降りた。
＊
円堂「なあ、どこに行くんだ？」
聖羅「…………」
……さっきからこの調子だ。
空翼は茂みを掻き分けながら、道無き道を進んでオレをどこかへ連れていこうとする。
ふと顔を上げると、背中にぶつかった。空翼が歩くのをやめたのだ。
聖羅「ここでいい」
円堂「？ここ、って……」
見覚えのあるその場所は、昼間に空翼を見つけたあの湖だった。
聖羅「座れ」
円堂「へ？」
聖羅「そこに座れ」
短く言われて、オレは地面の芝生に腰を下ろした。
オレの正面に空翼がしゃがみこむ。
聖羅「ケガ、見せろ」
言われた通りシャツを捲り、レーゼのシュートを受けた腹を見せる。
改めて見たら、青く痣になっていた。
痣に手を伸ばされて、思わず身構える。
ひたりと、まるで血が通ってないのかってほどの恐ろしい冷たさが指先から伝わった。
いきなり触ってきたさっきと違い、ただ掌が押し付けられるだけだ。
円堂「えっと……空翼？」
聖羅「黙れ」
またも遮るような言葉に口を噤む。
……その時、オレは昼間に見たあの翡翠色の瞳を、また目にする。
妙な緊迫感に駆られ、呼吸するのを一瞬忘れそうになった。
昼間とは違い、夜に翡翠色の光をぼんやりと宿す瞳に目が離せなくなる。
彼女のその小さな口から流れる旋律は、昼間の歌のメロディーと同じものを連想させた。
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さっちゃん - ドラマダ１話だけ見たよーとても面白かった！！雷雨が勧めるアニメは絶対見るからねーだからいつでも言ってねー毎日雷雨と会うたびにわくわくしながら楽しみにしてるんだからねー (2015年8月6日 9時) (
レス) id: 16c12ee81d (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん - おはよー今日から夏の高校野球がテレビで始まるよーうちはこのテレビを見て夏だなーって思う！あ！６巻おめでとーう！！ここにコメント書いたらいいんだねー (2015年8月6日 9時) (レス) id: 16c12ee81d (このIDを非表示/違反報告)
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