（１８７）その先は……？ ページ39
攻撃を受けて、満タンだった体力を一気に空にさせる。
その瞬間を今か、今かと待っていたあたしは、相手に近寄り手を伸ばす。
蓮「……！？ セイ！！」
「……？」
何が起きようとしているのか、体力を100%損傷した相手はわからない顔をしていた。
伸ばした手で『プレイヤー』の髪を引っ張り上げる。
力が抜けて虚ろになったその目を見つめ、唇を寄せる。
相手の耳に唇が触れるくらいの距離で。
『おまえの頭の中はもう、ドロドロだ』
「ひ……っ！」
相手ががくんと大きく震えて体を仰け反らせ、白目を剥く。
それを内心満足したあたしは、そのままアクトのフィールドに『プレイヤー』を叩きつけた。
聖羅「新型でも、弱ェもんは弱ェんだよ」
吐き捨てるようにして言った後……フィールドが真っ白に光った。
意識が肉体に戻っていく不思議な浮遊感に身を任せて、あたしは現実で目を覚ました。
「「…………」」
目を開ければ、野次馬たちはしんと静まり返っていた。
誰かが口を開き、それに続くようにして歓声が湧き上がる。
リリィ「決まりましたー！WINNER・Sly Blue！！」
相手を見やれば、コントローラーのサングラスが外れて、台座の上で倒れた対戦者がいた。
口元からゆっくりと泡が溢れ出す。
コイツの頭の中は今ドロドロに溶けた状態になってるだろう。
正確には、コイツがそう錯覚してるだけだけど。
ただ、コイツ自身は「頭の中が溶けた」と思いこんでいるから、体が同様の反応を示している。
死んじゃいないけど、回復できるかどうかは本人の気力と体力次第だ。
コントローラーのサングラスを外し、ケーブルにリンクさせていた蓮をバッグにしまって台座を降りた。
……今回の対戦者も、ザコで呆気なかった。
「Sly様！！カッコいーっす！！」
「Sly Blue、サイコー！！」
戻りの道も人々が勝手に道を譲って、おまけに媚びてくる。
路地裏から出ても後ろからの歓声は耳にタコができるくらい響いてくる。
……正直、何度持て囃されようといい様に見られようと、いい気がしない。
なぜなら人間の本心とは真逆の発言でしかないからだ。
昔からいい様に見られたことは、本当に一度も無い。
……アクトで唯一の楽しみは、相手の精神を狂わせた、あの瞬間だけだ。
あたしはとりあえず、アクトを終えたから家に帰った。
ベッドに仰向けになり、バッグから蓮を起動させて腹部に乗せる。
……次の戦いで、優勝と敗北のどちらかが決まる。
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さっちゃん - 久しぶりー読みましたよ！第4巻！また新しいのが出来たら投稿してねー楽しみにしてるよー（＾ー＾） (2015年3月14日 14時) (
レス) id: 16c12ee81d (このIDを非表示/違反報告)
佐倉かぐや(雨狩香)(プロフ) - 今日、一気に見させていただきました！とても面白く素晴らしい作品ですね！更新、頑張ってください。応援してます！(*´ч`*) (2015年2月12日 4時) (レス) id: 143c1285b3 (このIDを非表示/違反報告)
夏の破壊者(プロフ) - 第四巻目おめでとう！！(*´∀｀*) これからも改めてよろしくお願いします( ｀・∀・)ﾉ (2014年12月12日 8時) (レス) id: 33a54af4d9 (このIDを非表示/違反報告)
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