（１３４）夢見 ページ36
……目を開ければ、そこには正しく本を並べた本棚の羅列。
誰もいない、いるはずもない砂地のグラウンドが、窓の下に広がっている。
忘れるはずのない、【おまえ】といた場所に、聖羅は立っていた。
「……あっ。しょう……」
「聖悟」ととっさに名を出そうとしたのであろう【おまえ】は、首を横に振った。
「……もう、【聖羅】で良いんだったね」
本棚によって続いた先には、桜の舞い散る校庭が見える、自分の特等席。
その場所にはご丁寧に、アンティーク物の２つの椅子が準備させられていた。
【おまえ】は迷わず、左の椅子に座った。
「聖羅も座って」と言い、右の空席をトントンと叩く。
『…………』
聖羅は戸惑わず、椅子を彼の左に移動させてから座った。
「も〜。聖羅ってば頑固なんだから〜」
『黙れ。あたしをいちいち女扱いするな』
ため息をつきながら背もたれに重心を預ければ、髪飾りの鈴はシャリンと鳴った。
その金色に輝く鈴の中には【何も入っていない】はずなのに。
「……ねぇ、聖羅」
柔らかなクリーム色のクセッ毛を揺らしながら、【おまえ】はクロッキー帳を開いて4Bの鉛筆をサラサラと走らせた。
『……んだよ』
知識のあまり無い【コイツ】は、いつも聖羅に聞いてばかりだった。
質問の内容は至って普通のことばかりだから、飽き飽きしている。
どうせ、いつものくだらない質問だろう。
……そう思っていた。
「なんでおれは、死んじゃったと思う？」
間を空けて問いかけたその言葉は、聖羅の胸の奥底に突き刺さった。
校庭の桜が、突風に煽られて花びらを一気に撒き散らす。
『な、に……言ってんだよ』
「知らない、なんて言わないで。おれは本気だよ。
……もう一度聞くね？
……なんでおれは、死んじゃったと思う？」
描きかけの桜の木の絵を切り離しながら、【おまえ】はその絵をビリビリに引き裂いた。
「教えてよ。
なんで、なんで、なんで？
わからないワケないよね？
だって聖羅は何でも知ってるんだから、わからないはず無いでしょ？」
手繰り寄せるような勢いは、聖羅の腕をひっ掴んだ。
普段はノロマなクセに、男で握力があることを度々忘れてしまう。
『……っ』
「…あ。でもまぁ、いっか」
そう言って【おまえ】は何事も無かったかのように手をパッと離し、席を立った。
「実際ココに来たって、キミはわからないだろうし」
そこにはもう、【おまえ】の笑顔は無かった。
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ばっしゅ(プロフ) - え、円堂・・・(( (2014年8月17日 9時) (
レス) id: 211a3ef49a (このIDを非表示/違反報告)
まこう(プロフ) - 雷雨さん» 見てみる！！ (2014年6月21日 14時) (レス) id: 86db760eed (このIDを非表示/違反報告)
雷雨(プロフ) - まこうさん» 『LOVE STAGE!!』っていうアニメ知ってる?! 友達が教えてくれたんだけど、声優がやたらと豪華すぎる！公式サイト見てみて！絵もすごくカワイイんだよ！ (2014年6月20日 19時) (レス) id: 56e9aa1732 (このIDを非表示/違反報告)
まこう(プロフ) - 続編おめでとう！！更新頑張ってね！ (2014年5月19日 13時) (レス) id: 3e30f6238f (このIDを非表示/違反報告)
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