（１１０）There are surely other worlds than this. ページ12
染岡「そう言うお前こそ、何してたんだ。
まさか本気でさっきの鷹と話してたわけじゃないだろうな？」
聖悟「だったらなに。誰と話そうが自由だろ。
……あぁ、違うか。染岡は元から嫌いだから、気味悪くなんのも当たり前か」
片手でリンゴを何度も放りながら、聖悟はブツブツと独り言をぼやいていた。
秋「あ、天空くん？何言って……」
聖悟「別にいいけど？
彼はそのまま柵の上に乗った。
聖悟「別に、どーでも」
聖悟は、そのまま体の重心を柵の向こうへと預けた。
「あ」と聖悟は淡白そうな顔で言うけれど、それ以上に円堂たちは動揺をした。
円堂「しょ……！」
聖悟「…………」
しきりにオレが手を伸ばしてもただ空を掴むだけで、聖悟が助かるはずもなかった。
その時の目が、これまでに無い虚ろな目をしていたのにもかかわらず。
＊
図書室のような場所に置かれた大量の本。
不自然にも2脚しかないイスは、いつでも夕陽の見える方角を向いている。
その片方のイスに僕は座っており、絵に描いたような天井を意味なく見つめていた。
「あっ。また来てくれたんだ」
右側に、僕と違う制服を着た【おまえ】が知らずに立っていた。
聖悟「…別に。来たくて着てる訳じゃないし。
というか、ココじゃないと会えないだろ」
「……そうだったね。でも、あんなことしちゃうキミもどうかと思うよ？
屋上から飛び降りちゃうなんて」
少しふくれっ面で怒る【おまえ】は、髪飾りの鈴を鳴らしながら僕の左に座った。
「ねぇ、雷門中は楽しい？
円堂くんとは仲良くなれそう？」
聖悟「…………」
「……悪かったって、だから睨まないでよぉ…っ。
……あっ、もうそろそろ時間だね」
僕の身長より大きな砂時計を指差しながら、【おまえ】は微笑んだ。
コイツは、僕のことを何も知らないクセにヘラヘラと……。
青龍中にいた時から、ココに居るまでずっと変わらない。
……砂は最後の一粒まで落ち、再び時を刻むために廻り始めた。
「じゃあね、聖悟……いや、
＿＿。」
最後に、【おまえ】は何か一言残そうとした。
聞き返さなくてもわかる。
【いつものように】僕の名を呼んだのだから。
『…その呼び方すんのは、おまえくらいだよ』
毎度ながら、最後に笑顔を残して。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ばっしゅ(プロフ) - え、円堂・・・(( (2014年8月17日 9時) (
レス) id: 211a3ef49a (このIDを非表示/違反報告)
まこう(プロフ) - 雷雨さん» 見てみる！！ (2014年6月21日 14時) (レス) id: 86db760eed (このIDを非表示/違反報告)
雷雨(プロフ) - まこうさん» 『LOVE STAGE!!』っていうアニメ知ってる?! 友達が教えてくれたんだけど、声優がやたらと豪華すぎる！公式サイト見てみて！絵もすごくカワイイんだよ！ (2014年6月20日 19時) (レス) id: 56e9aa1732 (このIDを非表示/違反報告)
まこう(プロフ) - 続編おめでとう！！更新頑張ってね！ (2014年5月19日 13時) (レス) id: 3e30f6238f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
