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とても広く複雑なお屋敷は行き方を一つ変えるだけで全く違って見えてきます。ときどきジョングクにあそこの鎧は夜になると動くんだよ、とかあの人形はちょっとずつ髪が伸びるから年に一回切ってもらうんだよ。なんていう話を聞きながら足を進めます。
ここの広間を左に曲がってあそこの像をまた左にいくと屋敷で2番目に広い踊り場です。ここには歴代の国王の肖像画や有名な画家の絵が沢山飾られています。
「あ!おとうさん」
「ほんとだ、かっこいいね」
「僕もおとうさんみたいになりたいなぁ」
「父さんみたいになるなら俺ぐらいは追いつけるようにならなきゃだめだよ!」
そう言ってジョングクは駆け出します。スピードはいつもの半分の半分ほどですがそれでも頑張って追いかけてくるAくんをみてにこにこ。
時にはかくれんぼをしながら屋敷の中を探検するとAくん最大の難関が現れます。馬小屋です。ずらっと並んだ何倍も大きい馬が小さい頃から好きになれませんでした。
でも今日はなんだか1人で行ける気がします。Aくんは意を決して馬小屋へ踏み出しました。めざせ出口、100メートルほどある道はとてつもなく長く見えます。おそるおそる半分まで進み後ろを振り返ると心配そうに見つめるジョングクが手を振ってくれました。
あとちょっと、がんばれがんばれ、こわくない
もう出口はそこ、というところで一頭の馬がブルルッと鼻を鳴らしました。突然のことにAくんはびっくりしてしゃがみ込んでしまいました。心配なジョングクが急いで駆け寄ろうとすると誰かに腕を掴まれました。
「もうちょっと見ててやれ、Aが1人であそこまで行けたんだから」
「ユンギヒョン!でも」
「大丈夫だよ、馬が暴走することは絶対ない。なにより助けてやるばっかりじゃ成長できねえだろ」
2人で入り口からAくんを見守ります。ジョングクはいつの間にか手をキツく握っていました。きっと泣きたいのは本人だろうになぜだか涙が溢れそうになりました。
すると、さっきまでとは違いしっかりと前を向いてAくんが立ち上がりました。そして歩いて歩いて最後の方は駆け足だったけれども、1人で初めて苦手だった馬小屋を通れました!
それを見た2人は興奮を隠しきれないように早歩きでAくんのもとへ行きます。大きな勇気を出した弟がとても誇らしく思えたからです。
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ルーナ(プロフ) - とても面白いです。お話の設定も好きです!続きが気になります! (11月4日 23時) (レス) id: 02f6ea63a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もんち | 作成日時:2021年3月22日 0時