星が降る夜に。［短編集］

◇ ページ5

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楽しい時間は、すぐに終わってしまう。

いつも通り1時間程居座って、私はそれ以上残らない様にしている。
少しでも悪い印象は持たれたくないから。せめてもの抵抗に、うんと丁寧にパソコンを鞄にしまって、お会計をする為にレジへ向かった。


「お会計、お願いします」
「あ、ごめん美門君お願い出来る？」
「構いませんよ」

奥で話し声が聞こえたかと思えば、彼が出て来た。
また、勝手に胸がずきりと痛む。

「450円になります」
「はい」


お会計を受け取る彼の細く整った指には、銀色の愛の印が嵌められている。
店内の照明が反射して煌めくそれは、私が顔も知らない誰かとお揃いで、世界に2つしかない特注品らしい。
彼が嬉しそうに話してくれたのを思い出す。

その笑顔が余りにも嬉しそうで、私は幸せになって欲しいと強く思う。
だから私は、帰る時に毎回この想いを忘れる。

心から、彼の幸せを願えるように。



それでも、彼が毎回私の相手をしてくれるから、ほんの少しだけ期待してしまう。

来週もまた、いつもの席で。



Fin.


お気に入り、評価、本当にありがとうございます！
励みになります。
順位が付いていて驚きました…！！嬉しいです。

翼の相手はご想像にお任せ致します。
喫茶店で働く翼…格好良さそうですよね。

あの頃みたいに、→←◇

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