短編集(JUMP×JUMP) (ページ34)

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つづき。

2人の食事の音だけが部屋に響く。

明らかに落ち込んでいる山田を前にして、どうすることもできずにいる。

ポケットで震える俺のスマホ。

頑なに俺を見ないでいる山田にバレないよう、机の下で確認する。

「いのちゃん用のハロウィンデザートを作る涼介。
僕には楽屋においてあったお菓子しかくれませんでした。」

知念からのメッセージと共に送られてきたのは、とろけるような笑顔でプリンをつくる山田の写真だった。

なんとなく馬鹿馬鹿しくなって。
山田はこんなにも俺だけを好きでいてくれて。

それを日常生活からヒシヒシと感じているのに。

＂無自覚モテ＂がなんだ。
山田が好きなのは俺だけだ。

デザートを作ってくれているということは、お菓子は用意していないだろう、と予測して。

『トリックオアトリート』

俺の突然の発言に驚いたのか、ゴソゴソとポケットを漁る山田。

「これ。これあげるよ。」

そう言って差し出してきたのはさっき俺があげたのど飴で。

『これは薬用なので薬であって、お菓子ではありませーん。したがって、いたずらしちゃいま～す♡』

我ながら都合の良すぎる解釈だと思いつつ。
でも顔を真っ赤にする山田が見れたからなんだっていい。

赤い顔のまま、抵抗と言えないほどの小さな抵抗をするから余計可愛く思えて。

口元のニヤニヤを隠せずにいる山田が俺を見つめるもんだから。

チュッ

驚いた顔をする山田。

『俺も山田と同じ気持ちだったよ。』

ささいなことで意地悪をしてしまったせめてものお詫び。

来年のハロウィンは俺も何か作ってみようかな。
きっと山田みたいな幸せそうな笑顔をしているのだろう。

ハッピーハロウィン

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ハロウィンにさつまいもプリンを作ってスイートポテトが出来上がった作者です。

お読みいただきありがとうございました。