フランボワーズソーダ tk×yb ページ17
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間接的ではありますが、少し大人なお話です。
side yb
もうやめてくれ、と叫びだしたくなる時がある。
期待や羨望のこもった眼差しを浴びるたび、本当の俺は違うと思ってしまう。
小さな頃から優秀な子だと言われてきた。
自分でもその自覚は十分にあった。
期待に応えることこそが、俺の使命だとさえ思っていた。
それが楽しいと感じることだってもちろんある。
だからこそ、現時点で生徒会長などという、役職に就いているのだ。
ただ、少し、疲れてしまうのだ。
人々の上にたって、先陣をきることに。
誰かに甘えられたり、誰かのために責任を持つことに。
ちょうどそんな時だった。
「薮くんってさ、本当はMでしょ。」
『突然何を言うかと思ったら、、くだらねぇ。どう考えたってSだろ。』
「大丈夫。大丈夫。俺には隠さなくていいんだって。
どう考えたってM。
そんな薮くんを俺だけはちゃんと分かってあげられる。満足させてあげられる。受け止めてあげる。」
俺の旧友は、生徒会室という部屋に似つかわしくないことをこんなにも平然と言える奴だったか。
くだらない、くだらない。
俺は疲れているから、こいつのこのハッタリに反応しているだけだ。
俺はこのまま優秀な人間として人々の上にたって、歩んでいくのだ。
さっきまで俺から遠い位置に座っていたはずの高木が、気がつけば俺の近くにいる。
「ねぇ薮くん。本当の自分は違うのにって思ったことない?みんなの上にたつんじゃなくて、誰かに支配されたいって思ったこと、1度もない、、、?」
俺の目をじっと見つめながら言う。
いつからこいつは。
こんなに心の内を覗き込むような、悪い顔をするようになったのか。
「いい顔してるよ、今の薮くん。
自分でも気づいてるでしょ。ほんとは。
俺が怖い?それとも俺に本当の自分が暴かれるのが怖い?
でもね、その恐れの中に期待してますって気持ちがあるの、バレバレだよ。」
期待なんか、期待なんかしていない。
俺はただ、ただおまえが怖くて動けないだけだ。
「薮くん、大丈夫。俺が全部受け止めてあげるから。だから恥ずかしい薮くんも全部、俺にだけ見せて」
ゆっくりと俺に見せつけるように、分からせるように、旧友の唇が近づいてくる。
どこかでガラガラと何かが崩れる音がした。
その『何か』に気づかないふりをして、
俺は旧友の背中に手を回した。
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作者名:あさり | 作成日時:2018年9月28日 4時