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『クラゲってね、死んだら海に溶けちゃうんだって』
「溶ける？」
『そう、クラゲはほとんど水分だから、溶けて消えちゃうの』
両腕を天井の方に向けて、左手のピンキーリングをキラキラ見せながら話すクラゲ。
シンプルなシルバーの指輪にマリンブルーの色の小さな宝石が1つ。
やけに眩しく見えるそれが、クラゲの瞳に反射して
彼女の瞳に宝石があるみたいだった。
「…じゃあ、クラゲも、消えんの、？」
『…私？ふふ、そうね、消えちゃうかも？笑』
「…もう、会えねぇの？…ぃやだ、」
『ひかる…？』
「おれ、これで終わるの嫌だ。…出会いはそんな綺麗なもんじゃねぇけどさ、クラゲとまた会いたい」
いつもなら、こんな素直になんてなれねぇのに。
不思議だ、クラゲの前じゃずっと思ってることしか言えない。
なにも、隠せない。
『消えないよ、私は。…クラゲがいるところに、また逢いに行く』
「クラゲがいるところ…」
『そう、クラゲがいるところ』
「そしたら、また…」
『うん、また会えるよ。だから今日は、…このまま溶けるみたいに寝ちゃお』
「ふっ、それ眠いだけじゃん笑」
『ふふ、バレた？笑』
「眠いって書いてある、…ここに」
消えてしまいそうな透明な頬にひとつ口付けをすると、擽ったそうにするクラゲ。
くすくすと笑いながら俺の胸元に顔を埋めて
『くすぐったい、笑』
なんて言って。
俺の胸に不意に当たった左手のピンキーリングが、思いのほか冷たくて
でもその冷たささえ、愛おしい。
たった数時間前に会ったばかりなのに。
こんなにも彼女に、『クラゲ』に溺れてしまった。
『おやすみ、ひかる』
「ん、おやすみ、クラゲ」
ふんわりと、壊れないように彼女を抱きしめて
そっと、彼女の額にキスをして。
その後はまた、ふわふわとした感覚に襲われて。
心地いい彼女の体温と共に眠りに落ちた。
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カーテンから漏れる朝日の光で目が覚めた時には、彼女はもう、横にはいなくて。
代わりに置いてあったのは、昨日の『ほしぞら海月展』のチケット。
「クラゲ、」
クラゲがいる場所に、また行けば……
そんな淡い期待をして、チケットを財布にしまってからホテルを出た。
また、海月ともに
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作者名：maoka. | 作成日時：2023年8月4日 19時
