海月が消える前に。 ページ3
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そこからはもう、正直よく覚えてない。
暫くは一緒にクラゲを見てた気もしてるし、そうじゃなかったかもしれない。
ふわふわ、ゆらゆら。
ほんとにクラゲになったみたいにずっとふわふわしていた。
次に意識がはっきりした時には、ホテルのベッドの中で、そういう行為が終わったあと。
横には何も身にまとってない彼女。
相変わらず彼女の肌は、クラゲのライトの元じゃなくとも透明度抜群で。
触れたら消えてしまうんじゃないかという謎の恐怖が今更襲ってくる。
散々、触れたはずなのに。
『ね、名前、聞いてなかった』
「あ、…俺？」
『ふふ、俺以外誰がいるの？笑』
「…ひかる、」
『ひかる？…へぇ、なんか意外』
「は、なんで」
『だって、すごく強面な感じ？笑』
「…怖かった？」
『ふふ、んーん。ひかるは怖くないよ』
「……ごめん、俺、…こんなつもり、」
『なんで謝るの？』
「いや、だってさ…」
『私は、後悔してないよ』
「そっ、か…ならよかった」
正直、そういうコトをするのなんて久しぶりで
でも無我夢中だった。
止まらねぇとか、ガキかよ。
なんて客観的に思う自分もいるのは確かだ。
それでも、
こんな風になるなんて、こんな気持ちになるなんて
彼女が初めてだった。
『ひかる、』
「ん…？」
『クラゲ、』
「…くらげ？」
『私、クラゲっていうの』
「ん？…え？笑」
『…あ、信じてないでしょ？笑』
「いや、だって、、ねぇ？」
『海の月、って書いて、クラゲでしょ？』
「うん、」
『私も、おなじ。だから、クラゲ』
「…へぇ、笑」
『…やっぱ信じてないでしょ』
「ふっ、信じてるって笑」
『ひかる、絶対信じてない、うそつき』
ぷくっ、と片方の頬をふくらませる『クラゲ』
なんだ、子供っぽいところもあんじゃん。
それに、俺の名前を呼ぶ時は何故かやわっこい。
彼女に名前を呼ばれる度に、ふわふわとした気持ちになる。
俺に抱かれてる時は、ただただ美しかったのに。
なんて少しあの数分前の出来事を思い出して、恥ずかしさを隠すために咳払いをした。
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作者名：maoka. | 作成日時：2023年8月4日 19時
