Page 29 ページ29
.
___『お邪魔しました』
ここで大丈夫だよ、って言ったのに。
わざわざ玄関から出てお見送りをしてくれるらしい。
目の前なのに、Aが家に入るまで見てるから！、って過保護すぎない？！
……過保護なのも昔から変わらないけど。
「じゃ、また明日」
『うん、今日はありがとね。その、色々』
「いいよ別に、こっちこそ、彼女になってくれてありがと」
愛おしいものを見るかのような目で、宝物に触れるかのような手つきで、
今まで、よく涼ちゃんの好意に気づかなかったものだ。
『おやすみ、』
「おやすみ」
涼ちゃんに軽く手を振って、玄関のドアを引く。
真っ暗な部屋、そういえばお母さんたち遅くなるんだっけ、
ローファーを脱いで、段差を上がろうと顔を上げると、突然降ってくる声。
「おかえり」
『た、…だ、いま、』
さっきの光景がフラッシュバックしそうになったところで、思考が停止。
瑞稀が私の後頭部を引き寄せて、すんすんと匂いを嗅ぐ。
『なに、してんの？』
「何してきたの？」
聞いた事のないような、低い声。
ぞくりとして、背筋が伸びた。
『涼ちゃん家、お邪魔してきた、だけ』
「へえ、家に行っただけで、こんな、」
はしもっちゃんの匂いになるの？随分、近くにいたんだね、と冷たく笑った。
「それに、」
太腿を這った指先、シワになったスカートを摘む。
「俺に言えないこと、してきたんだ」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1496人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みな(プロフ) - 重い瑞稀くん大好きです…泣 (2019年4月6日 19時) (
レス) id: fa95af4103 (このIDを非表示/違反報告)
hona0216(プロフ) - 毎回凄い面白くて楽しみです！涼くんと最後結ばれるのが見てみたい気もしてきました、、(笑) (2019年4月5日 9時) (レス) id: c67cdb877e (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - Lunaさん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いします……！ (2019年3月28日 18時) (レス) id: 9c6ea69461 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - 今回も面白かったです！毎回、展開が気になるので更新頑張って下さい。応援してます(^O^) (2019年3月26日 0時) (レス) id: fca9aa730a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アオ
x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=blueao5&scr=novel/jeyuto01...
作成日時：2019年3月23日 11時
